守りと攻めのハイブリッド戦略

では、「貯蓄から投資へ」という政策は誤りなのでしょうか。必ずしもそうではなく、資産運用の選択肢を広げること自体は重要です。

しかし、それが機能するのは、「基礎的な生活が安定している人々」に対してであることを認めないといけません。その手前の政策として必要なのは、全ての人が安心して生活できる基盤を整えることではないでしょうか。実質賃金を引き上げ、貯蓄ゼロ世帯を減らし、誰もが「将来のために投資する余裕」を持てる社会をつくることが先決です。

「貯蓄から投資へ」という流れは人生100年時代の資産形成において不可避な選択です。
その投資の原資となるのは日々の労働所得であることも忘れてはいけません。

したがって、私たちは「投資」の定義をもう一段階広げて考える必要があります。
第一に、金融資産への投資。これは「賃上げを待つ」だけではなく、個々人がインフレから生活を守るための不可欠な防具です。少額からでも時間を味方につけて世界経済の成長を取り込むことは誰にでも開かれた権利です。

第二に、さらに重要なのが「人的資本(自分自身)」への投資です。どのような株価暴落が起きても、あなた自身が学んだスキルや経験、稼ぐ力は誰にも奪われません。格差が広がる社会において、最も確実で高利回りな投資先は「自分自身」です。

「国には賃上げと分配を求め、手元の資金は賢く運用し、そして自分自身の価値を磨き続ける」。この「守りと攻めのハイブリッド戦略」こそが、K字型社会を嘆くだけで終わらせず、力強く生き抜くための戦略となるのです。

文/すあし社長 写真/shutterstock

この国の「なぜ?」が見えてくる日本経済地図
すあし社長
この国の「なぜ?」が見えてくる日本経済地図
2026/2/18
2,200円(税込)
360ページ
ISBN: 978-4761278571

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政治・産業・軍事・地政学・エネルギー・人口動態……
テレビ・新聞のニュースではわからない日本の全体像
世界が注目する〝日本の戦略〟を日本人は知らない。
 
●なぜ、台湾有事が「日本有事」なのか
●なぜ、日本は株高で、低賃金なのか
●なぜ、金利が上がると大混乱になるのか
●なぜ、日本産業の本当の強さが「隠れて」見えないのか
 
……さまざまな疑問に、「表面的な答え」ではなく、ものごとの繋がりから理解できるつくりになっています。
 
ニュースで流れる「経済状況」「あの政策」
が理不尽で理解不能に思えるかもしれません。
 
しかし、日本経済の「仕組み」、
抱えている「火種」、
そして起こっている「現象と原因」
がわかれば、進むべき「戦略」が見えてきます。
 
「思考停止」に陥らず
複眼的で
バイアスのない冷静な視点で
日本経済を読み解く。
そんな大人のための一冊です。

【目次】
序章 失われた30年の清算
1章 〈経済〉 好景気な不景気は、いつまで続くのか
─なぜ、日本は、海外から「安く」買われるのか
─なぜ、日銀は「金利」を上げられないのか
─なぜ、「株価」と「不動産」だけが上がるのか
─なぜ、「給料」が上がらないのか

2章 〈軍事・防衛〉 ――果たして、戦争に向かっているのか
─なぜ、「台湾有事」は、「日本有事」なのか
─なぜ、防衛費を倍増したの
─なぜ、防衛DXが最重要課題なのか
─なぜ、日本の「自主防衛」は進まないのか

3章 〈貿易・産業〉 ――「日本製」という強みは、今
─なぜ、「グローバル・サウス」に、世界の焦点が当たるの
─なぜ、製造業に復活の兆しがあるのか
─なぜ、日本は「モノづくり」で勝てなくなったの
─なぜ、日本の「食料自給率」は低いままなのか
─なぜ、「アニメ・ゲーム」「インバウンド」に可能性があるのか

4章 〈人口動態・社会〉 ――スクラップ・アンド・ビルドを実現できるか
─なぜ、「少子化対策」が不発なのか
─なぜ、「高度成長の遺産」が、リスクになったのか
─なぜ、「人」に投資できないの
─なぜ、経済大国なのに「幸福度」が低いの

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