「ホントに変な方たちですね」
そんな流れが、「自分に自信はありますか?」という財前の問いかけから変わっていく。自信がある人は手を挙げて。そんな呼びかけに、生徒全員が手を上げる。困惑した表情の財前。
彼はタブレットを操作し、「じゃあ、次のクエッションまで行っちゃいます」と言い、用意してきたスライドを数十枚飛ばしていく。聴衆を操っているつもりの人物像が崩れる瞬間と、スライドを飛ばす動きが重なり笑いになる。
審査員の佐久間一行が指摘していたが、スタジオの観客を講演会の聴衆と見立てた設定が、観客をスムーズにコントの世界に導入していく仕掛けになっていたのだろう。漫才のように最初から共有された「お約束」があるわけではない。ピン芸では、その場で前提を作らなければならない。今井は講演会という設定を使うことで、その前提を無理なく観客に共有させていた。
もちろん、他のファイナリストもそれぞれのやり方で1人の世界を成立させていた。最終決戦の直前、おそらく初めてネタを見た芸人ばかりだっただろうMCの生見愛瑠は、ファイナリスト9人をこう振り返り笑った。
「ホントに変な方たちですね」
自分1人で自分自身やネタの見方のことを、説明くさくなく説明する。生見の「変な方たち」という素朴な感想は、今回のファイナリストたちがそのピン芸の困難を超えた先で笑いを生んでいたことの、何よりの証明だった。
文/飲用てれび



















