「清潔感」「大人のマナー」「身だしなみ」

リフレーミングとは、見え方や言い方を変えることで物事の受け止め方や評価に変化をもたらす手法だ。言葉やイメージを変えながら、男性たちが化粧品に対して抱いていた心理的ハードルを少しずつ下げ、いまや新習慣として広まっていった好事例である。

最初から「美容」「化粧」「メイク」という言い方をすれば、「美容は女性のもの」、「男がメイクなんて…」と考える男性たちには受け入れられにくくなることは想像に難くない。

それを、「肌ケア」「匂いケア」「清潔感」「大人のマナー」「身だしなみ」といった言い方にリフレーミングすると、男性たちにとって他人事から自分事に変わって、「自分も」、「試しに」と受け入れやすくなる。

また、「男性用の化粧品」といわれると「周囲の目が気になって買いにくい」と思われるならば、夫婦や家族で共用できるユニセックスやジェンダーレスの商品とすることで、心理的ハードルを下げることもできる。

いきなり「もっと美しく」と喧伝するよりも、1995年からいち早く男性用商品を展開する花王のメンズビオレのように、「自信のある肌で前向きに過ごしたい」と示した方がターゲットに対して効果的であることも同様である。※3

また、「美容のために一手間かけよう」と言われれば、「どうしても面倒くさい」と思われやすい。

それを、9年連続で男性用フェイスケア市場でトップのニベア花王「ニベアメン アクティブエイジ」シリーズのスキンケア商品「ワンステップケア」のように、1ステップで洗顔・うるおい・髭剃り後の肌ケア・乾燥小じわ対策の4つを実現できることをアピールすれば、「だったら使ってみよう」と買わない理由を解決することができる。※4

ニベアメンのクリーム(写真/Shutterstock)
ニベアメンのクリーム(写真/Shutterstock)

実は男性用化粧品に限らず、日本の消費者は、新しい物事や習慣を受け入れるための心理的ハードルがとても高いことが研究の世界でも実務の世界でもよく知られている。

もともと新しい提案に対しては懐疑的なスタンスで、現状維持を好む傾向にあるからこそ、男性美容の浸透も少しずつ心理的ハードルを越えていく手順が必要だったのだ。