MVコメント欄に見る平成イケメンへの惜しみなき賛美

オレンジレンジの代表曲『イケナイ太陽』の新作MVが、2025年10月にYouTubeで公開され、平成一桁生まれ(現在27〜36歳)の女性を中心に大きな反響を呼んでいる。

かつてフジテレビで放送されたドラマ『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』の名場面を、堀北真希、小栗旬、生田斗真、水嶋ヒロ、山本裕典、岡田将生ら出演俳優陣の映像コラージュで編集したスペシャルミュージックビデオだ。

平成期(1989〜2019)に青春を過ごした世代が大人になり、当時の音楽やカルチャーを懐かしむ平成レトロブームがSNSを中心に拡大しており、当該のMVは260万回再生されている(11月7日時点)。

コメント欄には当時の“イケメン”たちを褒め称えるコメントが並ぶ。

「20年経ってもこのときの水嶋ヒロよりカッコイイ男現れない」

「昭和世代のおじさん達の『あの頃は良かった』って言葉、何言ってんだよった思ってたけどアラサーになった今胸張って言える『あの頃は良かった』」

「平成一桁ババアが懐かしさにむせび泣きながら通りますよっと。ほんまにいい時代やったと思うよ私は」

「まだ韓国に染まる前の日本のメンズって感じで、みんな違ってみんないい」

「当時中学生の平成一桁ガチババア、ここの難波先輩にドキっとしてしまった。何もかもが完璧すぎる」

平成中期“イケメン”のヘアスタイルとは

特に注目したいコメントは、彼らの髪型について言及したものだ。

「トップをツンツンさせたり、襟足長かったり、ストレートな前髪だったりこれです! これがいいんです。この平成の髪型がいい」

「男やけど、死ぬほどハマってて憧れて髪の毛伸ばしてた懐かしい」

ストレートに下ろしたやや重めの前髪、パーマで動きをつけたトップ(頭頂部近辺)、首筋に沿って流れる長めの襟足…。

雑誌smart 2008年4月号 写真/筆者提供
雑誌smart 2008年4月号 写真/筆者提供

映像をあらためて見ると、当時10代〜20代前半の俳優たちがキメていたあの髪型こそ、平成中期“イケメン”の典型だったということが思い出される。

テレビ、音楽、ファッション誌、美容室等が有機的につながった結果生まれた時代の顔である。

男性のヘアスタイルの流行はこの頃、1990年代に流行したワイルドな無造作スタイルから脱却し、より自然なさりげなヘアへと移行していた。

ショート〜セミロングでカットし、ストレートの前髪でポイントを作りつつ全体的な毛流れを楽しむ、甘すぎず、ワイルドすぎないナチュラルなスタイルが注目されていたのだ。