将来の市民の財布にツケを回し…
2025年万博に向けて作られた人為的な建設需要や、行政による公金投入というカンフル剤は、閉幕とともに完全に効果が切れる。1970年当時はオイルショックが大きな追い打ちをかけたが、現在は長引く深刻な物価高騰と、人手不足の慢性化が地域経済の首を絞めている。
さらに恐ろしいのは、行政が抱え込んだ「負債」である。大阪市の公式な財政収支概算(令和8年2月版)によれば、市税収入は過去最高を見込んでいるにもかかわらず、今後の10年間を通じて恒常的な「収支不足」が生じると予測されている。
万博や夢洲開発に投じた公共事業費の後年度負担が、今後の自治体財政を重く圧迫することは火を見るより明らかだ。
行政は3.6兆円という華やかな数字を誇らしげに掲げ、「万博は成功した」と幕を引きたいのだろう。たしかに、ある一面を切り取れば成功に見えるかもしれない。
しかし、乗数効果が1を下回る非合理な投資を行い、代替効果で地元の消費を食い合い、クラウディングアウトという劇薬で地域を支える中小企業を強制退場させ、将来の市民の財布にツケを回したというデータもまた、消し去ることのできない事実である。
今回も重苦しい「万博不況」が関西を覆い尽くそうとしている兆候
万博不況は、短期イベント効果の過大評価と長期支援の欠如が招いた失敗事例だ。1970年万博の教訓を生かせず、中小企業支援を怠った行政の責任は重い。
かつての1970年万博の後に、長い冬の時代がやってきたように、今回も重苦しい「万博不況」が関西を覆い尽くそうとしている兆候が、すでに倒産データとして現れている。
私たちは、耳障りの良い成功論に流されることなく、不都合なデータから目を逸らさず、一過性のイベントに依存した経済政策の限界を直視しなければならない。
地域に真の豊かさをもたらすのは、半年で消えゆく打ち上げ花火ではなく、地道に血を通わせる持続可能な経済循環なのだ。
文/小倉健一 写真/shutterstock













