本質的な経済効果はなかった可能性が非常に高い万博
2025年大阪・関西万博が閉幕し、行政は「大成功」のムード作りに躍起になっている。
経済産業省は約3.6兆円の経済波及効果があったと発表し、万博参画企業が出資するアジア太平洋研究所(APIR)も3兆円規模の生産誘発額を試算して「需要の取り込みに成功した」と一定の評価を与えた。吉村洋文大阪府知事は「大きな経済効果が出た」と胸を張る。
確かに、会場内で巨額のお金が動き、計算上の波及効果が出たことは紛れもない事実である。しかし、この華々しい「数字のマジック」に目を奪われてはいけない。
宣伝されているほど、地域全体を豊かにするような本質的な経済効果はなかった可能性が非常に高いのだ。なぜなら、万博の経済政策としての前提には、「乗数効果の低下」と「代替効果」という二つの致命的な落とし穴が存在するからである。
巨大イベントモデルは限界を迎えている
まず根本的な問題として、現代の日本において「公共事業や巨大イベントで経済を右肩上がりにする」というモデル自体が限界を迎えている。
経済学には「乗数効果」という概念がある。これは、国や自治体が1円の公共投資を行った際、経済全体で何円の国内総生産(GDP)増加をもたらすかを示す指標だ。
かつての高度経済成長期であれば、この数字は軽く1を超え、道路や橋を作れば作るほど経済は潤った。しかし、成熟社会となり政府債務が膨張した現在の日本では、多くの実証研究において、この乗数効果は「1を下回る(1未満)」と推計されている。
つまり、税金を100億円投入しても、経済全体への波及は100億円未満にしかならない「非効率な状態」にあるのだ。
百歩譲って、その投資先が後世まで何十年も物流を支える新しい高速道路や港湾であれば、長期的な「ストック効果(資産としての価値)」が期待できる。しかし、万博はどうだろうか。













