来場者のうち、実に64.2%が近畿2府4県の住人
国や大阪府・市、経済界が最大2350億円もの巨額の会場建設費を投じたにもかかわらず、閉幕後、あの巨大なパビリオンや施設は原則としてすべて更地に取り壊される。
乗数効果がただでさえ1未満であり、公共投資が有効に機能しづらい現代日本において、たった半年間で消えてなくなる一過性のイベントにこれほどの巨額の税金や民間資金を投入することは、マクロ経済の視点から見てあまりにも「経済合理性を欠く」と言わざるを得ない。
さらに追い打ちをかけるのが「代替効果」である。APIRのデータによれば、一般来場者のうち、実に64.2%が近畿2府4県の住人だった。
この数字が意味するものは重い。つまり、関西の人々が休日に地元の商店街で買い物をしたり、近場の温泉地へ旅行したりするはずだったお金を、万博会場という閉鎖空間に持ち込んだケースが大半を占めているということだ。
日本全体、あるいは関西全体のパイが大きくなったわけではなく、右のポケットから左のポケットへお金が移動したに過ぎない。
一部の万博関連企業や大手の観光業が潤う一方で、街の飲食店や地元密着の小売店がまったく恩恵を感じられないのは当然の帰結である。経済の血液であるお金が、地域を隅々まで循環するのではなく、特定の場所に吸い寄せられてしまったのである。
万博開催中の関西経済は水面下で冷え込んでいた
実際、万博開催中の関西経済は水面下で冷え込んでいた。
東京商工リサーチのデータによると、2025年の都道府県別の倒産発生率(事業所数に対する倒産の割合)は、京都府が0.36%(全国ワースト1位)、大阪府が0.32%(同2位)、兵庫県が0.31%(同3位)と、近畿圏がトップ3を不名誉にも独占するという異常事態に陥っている。
これに対し、万博成功を支持する人々からは「倒産が増えるのは、高い賃金を払えない生産性の低い古い企業が淘汰され、より強い企業へと人が移動する『新陳代謝』が進んでいる証拠だ」という反論が聞こえてきそうだ。
確かに、資本主義経済において、競争力のない企業が退場していくことは健全な新陳代謝の一部である。
しかし、今の関西で起きている倒産ラッシュを、その一般的な理論だけで都合よく言い繕うのは極めて危険である。なぜなら、2025年には「人手不足倒産」が過去最多の397件にまで急増しているからだ。













