香港が再びアジアの金融ハブとして復活する可能性 

この仕組みこそが、香港という都市の本質である。つまり政治体制は中国でありながら、資本と資産の安全性については国際金融都市としての制度を維持することで、世界の富裕層や金融機関にとって安心して資産を置ける場所として機能させているのである。

中国本土は不動産バブル崩壊という大きな問題を抱えている。今後は不良債権処理に長く苦しむ可能性が高い。しかしそれにもかかわらず、富裕層、ファンド、投資銀行、ヘッジファンド、さらにはAI開発企業までがシンガポールではなく香港を選んでいる。

この一点だけを見ても、香港という市場の安全性と機能がまだ生きていることの証明なのかもしれない。

香港
香港

もし最も成長すると言われるAI開発が香港で進み、その資金を富裕層や投資銀行、ヘッジファンドが供給する構造が出来上がれば、香港が再びアジアの金融ハブとして復活する可能性は十分にあるだろう。

そして忘れてはいけないのは、こうした動きはいつも静かに始まるということだ。勝ち組と呼ばれる層は非常に早耳である。ニュースになってから動くのではない。

我々が気付く遥か前に、すでに行動している。市場とは、いつの時代もそういう人たちが先に動き、その後ろを大勢が追いかける構造でできているのである。

 文/木戸次郎 写真/shutterstock