なぜ支持されている人気番組が打ち切られるのか
ここで明かされたのは、近年、TVerやSNSなどの視聴率以外の評価軸が多様化してきたことにより、ゴールデンだけにこだわらず、特定の視聴者層に強く支持される「カルト的番組」への憧れを持つ制作スタッフが増加している、という実情だ。
この番組の制作陣も、最優先事項として掲げていたのが、「他番組にはできない、動物MCだからこそのオリジナリティ」だったという。
実際、SNSでは高い支持を得て、TVerでもランキング入り。制作陣が目標としていた視聴率も達成した。その“成功”によって、番組はより「深夜らしい」方向へと舵を切っていく。しかし、それこそが“落とし穴”だった。
VTRは次第に、不穏な犯罪ドキュメンタリー風味になっていき、第2章「編成の言い分」へと移る。
編成部は、全番組を管理し、どの時間帯にどの番組を放送するのかを決める、いわばテレビ局の指令塔。改編期に番組継続の可否を判断するのも編成である。その編成側が『人間研究所』の課題として指摘した部分こそ、制作が大事にしていた「深夜感」だというのだ。
「GP帯を狙うには、もっと広い世代の視聴者を獲得しないと」と。
GP(ゴールデン・プライム)帯とは、19時から23時。この時間帯では「全世代に愛される番組」かどうかが重視される傾向にある。そのため近年では、親子で楽しめるゲームやクイズバラエティ、結末が気になるチャレンジ企画などが重宝されるという。
そこで編成は制作側に「深夜っぽさを少し薄められないか」と提案する。しかし制作側は、「この番組の個性、わかってる?」と取り合わない。番組をどう作るかは制作スタッフの領分であり、基本的に編成側から番組内容へ直接介入することは難しい。
ここで「専門家」として佐久間宣行が登場し、こう証言する。
「番組の評価基準が、編成の担当者によって違ったりするのもある。そうすると、制作陣が思っている『いい番組』っていう評価基準と、編成のその担当者が考える評価基準っていうのが違うことは今の時代ままある。そこを常にレベル合わせしておかないと、制作が『番組の調子が良い』と思っているのに、編成からは『底が見えた』と思われることもある」
こうして「いい番組」の解釈が食い違っていった結果、『人間研究所』は終了することになったのだ。


















