男女で異なる大学進学の経済的利点
高等教育費に詳しい日下田岳史は、『現場で使える教育社会学』において、就職後のキャリアを中断することなく60歳まで働き続けた場合、大学進学にかかわる教育費の「投資」が、どの程度の利回り(私的内部収益率)になるのかを計算している。
日下田によると、男女ともに高等専門学校卒と大学卒の私的内部収益率が高い*1。それ以外の進路では、男性の場合、専門学校卒や短大卒の私的内部収益率はほぼゼロかマイナスなのに対して、女性の場合、2〜4年未満の専門学校や短大であっても大卒に匹敵する(場合によっては超える)値であり、2年未満の専門学校でもプラスである。
つまり、女性は高卒後に専門学校や短大、大学へ進学することが経済的には「合理的」な選択となる。
しかし、女性のライフコースは結婚や出産の影響を受けやすいため、「就職後のキャリアを中断することなく60歳まで働き続けた場合」という条件を満たせるかどうかが不透明になりやすい。
日下田は著書『女性の大学進学拡大と機会格差』の中で、収益率がプラスになるために、短大で30歳前半頃、大学で30歳半ば頃まで働く見込みが必要と指摘している。それより早期に就労を中止した場合、短大や大学への進学は経済的合理性がなくなってしまうのである。
この値は2009年データから算出されたものであるが、現在でも30代半ばで職業キャリアを中止すれば、経済的合理性という点では不利益を被ると考えられる。反対に、男性は結婚や出産の影響を受けにくいため、就労を継続しやすく、大学進学が経済的利点を伴いやすい。













