過疎化地域にこそタワマンを作るべき
しかしタワマンが建つ上山市の現状は厳しいものがあります。1954年に市制が施行され70年がたちますが、1955年に4万1848人だった人口は、現在(2025年4月)で2万7270人と35%も減少しています。
市は手をこまねいていたわけではありません。上山市振興計画を掲げ、2024年には第8次計画を発表しています。
調和、豊か、幸せ、自然、快適、健やか、クアオルト(療養)、つながり、これまで多くの標語を並べて街の振興に旗を振ってきた市の努力と想いはむなしく、1960年代後半以降は計画を刷新しても人口減少に歯止めがかからない状況は続き、2020年の国勢調査においてはついに過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法に基づく過疎地域(全部過疎)に指定されました。残念ながら1999年に竣工したタワマンも市の人口減少をとどめることに貢献できたとはいえません。
でも見方を変えてみると、価格の安さは別として、このタワマンで暮らす住民たちの生活満足度は意外と高そうに見えます。雪国では不可避のはずだった「雪かき」や「高い光熱費」を避けられ、自動車さえあれば基本的に生活には困りません。周辺からは絶対に妨害されずに蔵王連峰や山形盆地を一望できる景観。これから確実に必要となる大規模修繕に十分対応できるかの問題はあるにせよ、廃墟化のリスクは高くないようにみえます。
いっぽうで市の窮状は今後も深刻化するばかりであることも窺えます。ならばいっそのこといささか暴論ですが、過疎化地域に指定された上山市は、タワマンの街を目指してみてはどうかと思えます。スカイタワーには700人ほどが居住しているとされますが、たとえば10棟のタワマンがあれば、約7000人、市の人口の4分の1が集住できます。これから老朽化する上下水道、ガス、電気などの社会インフラの維持にかかるコストを考えれば、コンパクト化の効果は極めて高いはずです。
タワマンの低層部には商業施設のみならず、公共施設、役所機能を設ければタワマン街の中だけで日々の生活が完結します。特に気候の厳しい冬場などは快適そのものの生活を営めるのではないでしょうか。雪国の高齢者にとってタワマン住まいは、かなり快適度の高い住まいですから、福祉的な観点からもおすすめできます。高齢者の住まいのモデル都市として振興計画に盛り込んでみてはどうでしょう。
また、こうしたタワマンに大都市圏から移住者を迎えるのも得策です。マンション住まいに慣れた都会人なら、雪国への移住に不安は少ないでしょう。地方タワマン移住、流行るかもしれません。
文/牧野知弘












