5 盆栽をもっと身近に感じてもらうために

小島 盆栽は今、世界的に注目を集めていますが、若い人たちが盆栽展に行ったりとか、盆栽屋さんにコンタクトを取って盆栽を見るのはかなり難しいと思うので、盆栽をもっと身近に感じてもらうために、僕らは企業向けに盆栽のリースをしています。

年間契約をいただいて、1週間に1回丸々盆栽を交換するというビジネスで、今、契約店舗数が100店舗ぐらいです。そうやってふだん盆栽と触れられない人たちが、たとえば食事に行ったり、アパレルのお店に行くことによって、そこにある盆栽を見ることができる。

もうひとつは、僕たちTRADMAN’S BONSAIのショップを丸の内にオープンしているんですけれども、これも盆栽ショップというものがなかなか無いなかで、気軽に盆栽に触れてもらえる場所を提供したいと思って作りました。

また僕のインスタでも上げていますが、カルティエさんのサントスという時計が最近出たんですけれども、そのローンチイベントでサントスをイメージした盆栽を作らせていただきました。鉢もサントスの形の鉢を作って。ハイブランドは、エルメスさん以外はひと通りやってきたのですが、たまたまこの取材の4日前かな、カタールの王族の方がギャラリーにいらっしゃって、その方がちょうどカタールのエルメスの社長だったんです。それでエルメスとのお仕事の話をいただいたり。

これまでになかった場所で、人々が盆栽と触れる機会を作っていきたい。これまでになかった新しい見せかたで。展示会に代表される、従来の古典的な盆栽の見せかたは限界を迎えていました。彼らがやっていることは完全にレッドオーシャンだったんですけど、僕らが盆栽を見せたい人たちはその外側にいたので、ブルーオーシャンでしたね。「若い人たちにストリートカルチャーを通して盆栽を見せたい」というのが最初の始まりなので。

塚原 最終的に盆栽を通して、どういう世の中になったり、触れた人にどういうふうになってもらえると一番いいですか?

小島 そうですね、会社の企業理念として「世界中の一家に一鉢。戦争が減る!」。

塚原 一家に一鉢ですか!

小島 みんなで盆栽に触れて「愛でる」ということを学んで、次の世代のこととか、未来のことを考える。もちろん人がいる限り戦争は無くならないとは思います。それはしようがないというか、人間ってそういうものだと思いますけれども、無くすことは無理でも、減らすことはできるんじゃないかなと考えていて、常に言っていますね。みんなで共有できるメッセージとして。

構成/高山リョウ 撮影/TRADMAN’S BONSAI

木に向かって「今からこの枝を切るぞ」と思うと木が察知する…?「TRADMAN’S BONSAI」代表、小島鉄平が語る盆栽の神秘と愛_6
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なぜ日本の手しごとが世界を変えるのか 経年美化の思想
塚原 龍雲
なぜ日本の手しごとが世界を変えるのか 経年美化の思想
2025年11月17日発売
990円(税込)
新書判/208ページ
ISBN: 978-4-08-721388-1

隈研吾氏(建築家)推薦!
「職人の手が紡ぐ時間と若い起業家のまなざしが交差する。
伝統と革新が響き合う、手しごと再生の書」

◆内容紹介◆
柳宗悦が民藝運動を提唱して百年。いま、その精神にZ世代の起業家が共鳴し、新たな光を当てる。
「経年美化」──時の流れが育む美しさに惹かれ、日本各地の工房を旅し、職人と火や木や土の声を聴くうちに、その意味は生きた実感となった。
伝統工藝は過去の遺産ではなく、持続可能な社会を築く知恵。モノを愛する心が人を結び、手しごとは世界を変える。そのメッセージは海外でも静かな共感を呼んでいる。工藝から未来を紡ぐ挑戦の書。

◆目次◆
第一章 Z世代、工藝に出合う
第二章 工藝から学んだ、これからの生き方・働き方
第三章 知られざる工藝の世界
第四章 これからの日本の工藝をつくる職人たち
第五章 日本の手しごとの「いま・これから」

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