ひとつの言葉が名付けられ、認知されるまで10年単位の時間がかかる
—「オカマって言われんだぞ世間では!」という台詞が出てきますよね。あの一言は、恋愛だけでなく、当時の世間の目を象徴しているようにも感じました。
2000年代初頭は、セクシュアリティをどう受け止めていいのか、多くの人がまだ手探りだった時代だったと思います。今は認知されてきたと思いたいですが、感じ方にはいろいろな層がある、というのが現代でも正直なところかもしれません。
でも、芸能界の人たちは、そういう「自分とは価値観が違う層」も含めた「世間様」を相手にしている職業。見てもらって、お金を払ってもらって、生きている。自由に生きているようで、不自由な部分が多い世界だと思っています。
—世間の眼差しが変わっていく様子も描く予定ですか?
あの頃だって「セクシュアリティについて誰も考えていなかった」わけではないんですよね。考えていた人は当時もいました。
自分の実体験で言うと、「BL」という言葉が認知されるまで10年ほど歳月がかかったと感じています。新しい概念や単語が認知されるまでには、大なり小なり10年単位の時間がかかることなのかなと。
2000年代初頭の生きづらさから、少しずつ状況が変わっていく。そういう変化も含めて長いタームの物語にしたいと思っています。
—社会が変わり、個人も変わり……。才能もまた、年齢とは関係なく、後から光が当たることがありますよね。
この物語でも、時代が変わって歳を重ねることで脚光を浴びるキャラクターも描きたいなと思っています。その時代によって光る才能も違いますから。歳を取るといわゆる「容姿」は失われていくかもしれませんが、才能はそれだけではない。
—加齢はネガティブなイメージを抱かれがちだと思うのですが、よしながさんは前向きなんですね。
人間関係の距離感は積み重ねがあるから、今のほうが友だちとの関わりは楽しい。若いときに悩んでいたことも、今は「取るに足らないことだった」と思えることがありますし。
70代でも揉めるときは揉めるし、落ち込むのでしょうけど、それはそれで面白い。ただ「前にも似たことを経験したな」と思えるだけで、気は楽になるんじゃないでしょうか。長く生きていると、誰かの人生や仕事を長い時間、見届けられる。それって、すごく贅沢なことだと思うんです。推しの活躍を見守ったり、新しい推しやオタク友だちと出会えたりすることも含めて。
私個人でいうと90歳を超えると多幸感が高まる、という話もあるので、「その域に達してみたい!」とも思っています。
取材・文/嘉島唯













