「一緒に食べる」のは、口の中の粘膜を見せる行為
—物語には「24時間、好きな相手のことばかり考えてしまう」キャラクターが登場します。これまでよしながさんは「恋愛は人生の一部にすぎない」ことを描いてきた印象があったので、あえてこの設定を選んだ理由が気になりました。
恋愛模様は描いていますが、2人を繋いでいる前提は「芝居」があるので、仕事に対する向上心も混ざっている。一応、「初恋」の位置づけです。
男女関係なく「尊敬している先輩」と仲良くなったり、仕事を褒めてもらったりすると、舞い上がるじゃないですか(笑)。恋愛なのか、尊敬なのか、自分でもわからなくなる。恋愛って、全能感を与えてくれるでしょう? 自分の実力かもしれないのに、「この人と一緒にいると、いいことしか起きない」と錯覚してしまうような。
ただ、恋愛するにあたって「同業者」の場合、別の嫉妬心が湧いてきてしまうと思うんです。長いタームで見たときに「若かりしときの勢い」が永久に続くわけではありません。強いと思っていた人が転落したり、追い抜かされたりすることだってありえる。そういう不安定な中で、お互いが気持ちよくいられる均衡は、偶然というか、いろんな事情とタイミングが噛み合って生まれるものですからね。
—作中ではそんな2人の食事のシーンも印象的です。
食事シーンは描いていて安心するんです。
「一緒に食べる」のは、口の中の粘膜を見せる行為。なので、誰かと一段階仲良くなれる時間だと思っています。













