武道館で始まった前代未聞の国際音楽祭

1970年11月20日から日本武道館で開催された「第1回東京国際歌謡音楽祭」(翌年に世界歌謡祭に改称)は、日本で初めて行なわれた国際的なポピュラー音楽祭だった。

世界の38ヶ国から選ばれた44アーティストが参加して、その日のために作られたオリジナル曲を披露するという試みだった。

司会は坂本九と作家の藤本義一。監修役の音楽プロデューサーとして名を連ねたのは石丸寛、いずみたく、中村八大、服部克久の4人。この音楽祭の意義について、服部は事前の取材で、「日本のポピュラー曲を世界という鏡に映して、その位置を知る貴重な機会」だと語っていた。

日本武道館(写真/PhotoAC)
日本武道館(写真/PhotoAC)
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大きな円形舞台の中央には、原信夫とシャープス・アンド・フラッツ、宮間利之とニューハードが揃っている。日本を代表するビッグバンドとオーケストラを作曲者が指揮し、歌手が歌って2日間の予選を行なった。その合格者によって最終日に本選が行われて、最優秀作にグランプリが与えられるという仕組みだった。

審査員のなかに音楽の専門家がいないのは、このイベントを企画したヤマハ音楽振興会の会長・川上源一の発案である。海外参加国の各大使館から推薦された17人、日本の協賛企業各社推薦による27人、合わせて44人の審査員は、いずれもアマチュアの音楽愛好家だった。

普段からプロの音楽家の多くが、コマーシャリズムに染まりすぎていると感じていた川上は、音楽業界内のヒエラルキーなどに関係なく、アマチュアの審査員が素直に自分の感性で判断することによって、本当にいい楽曲が発見されることを望んでいた。

11月20日(金)予選 16:00開場18:00開演21:00終演
11月21日(土)予選 16:00開場18:00開演21:00終演
11月22日(日)本選 11:00開場13:00開演17:00終演

初日のコンテストで花をそえたゲストは伊東ゆかり、ピンキーとキラーズ、アメリカから迎えたThe Original Cast(オリジナル・キャスト)、そしてCarpenters(カーペンターズ)の4組だった。

カーペンターズは、コネティカット州ニュー・ヘイヴンで生まれたリチャードとカレンの兄妹デュオ。写真は『カーペンターズ 40/40~ベスト・セレクション』(2017年12月6日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)のジャケット
カーペンターズは、コネティカット州ニュー・ヘイヴンで生まれたリチャードとカレンの兄妹デュオ。写真は『カーペンターズ 40/40~ベスト・セレクション』(2017年12月6日発売、UNIVERSAL MUSIC JAPAN)のジャケット