元アイドルが挑んだ「現役アイドル役」

──この『恋愛裁判』の台本を初めて読んだとき、率直にどんなお気持ちでしたか?

齊藤京子(以下同) かなり衝撃を受けました。しかも元アイドルの私がやっていいのかという葛藤もあって……。

──本作は齊藤さんのキャリアと大きく重なるテーマの作品ですが、アイドルという役を演じる上で、今までの作品とは違った向き合い方などはされましたか?

そうですね。この作品の物語やキャラクターを感じ取っていただくためにも、グループ(日向坂46)時代の「アイドル・齊藤京子」をなるべく連想させないようにしたいなと思って。なのでアイドル時代にやったことのない髪型だったり、この作品で初めて髪を染めてみたり、監督とも話し合いながら、自分じゃないアイドル作りをしていきました。

日向坂46卒業まで一度も髪を染めたことがなかった
日向坂46卒業まで一度も髪を染めたことがなかった
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──深田晃司監督の作品は俳優が感情を説明しすぎない、抑制の利いた演技を見せるのが特徴的だと思うんですが、そのあたりで意識したことはありますか?

監督からは「お芝居をしている感じがしないもの」を作り上げたいと伝えていただいて、それはずっと意識していました。前半のアイドルシーンのパートは得意分野みたいなものだったんですけど、それ以降のシーンに関しては現場の空気をつかんで、「あ、こういう感情になるんだな」っていうのを体感しながら作り上げていきました。

あと、自分の悩みなどをキャッチボールをしながらしゃべるワークショップのような時間もありました。昔からワークショップや本読みがあまり得意ではなくて、実際にセットとかがあってようやく動きができるというか……。なにもないと窮屈に感じて「ああ本番やりたいな!」みたいな(笑)。まず現場で吸収したいという気持ちがあって。でもやっぱり本読みがあってこその演技なので、そこは葛藤しつつ、日々勉強という感じです。

──今回齊藤さんは映画初主演ということで、座長として意識されたことはありましたか?

「自分が座長だ」っていう自覚や意識みたいなものはあんまりなくて。錚々たる皆さんの中で主役をやらせていただくことがすごく光栄で。ですけど、なんかこう「悪い空気」だけは出したくないというか、少しでも温かい空気をつくって撮影に臨みたいというのはありました。