高齢女性がターゲットに。スピ詐欺ならではの巧妙な手口とは?

法律事務所Zが占い詐欺被害者の相談に取り組み始めたのは、2022年の9月頃。現在では相談件数は毎月平均60件以上、多いと80件を超える月もある。被害者の多くは60歳から80歳の高齢者、それも女性がほとんどだという。

一律に原因を語ることは難しいというが、女性向け雑誌などには占いページは欠かさずあることから分かるように、そもそも男性よりも女性のほうが占いなどを身近に感じている傾向が強いという。

また高齢者の被害者が多いのは、子どもの独立やパートナーとの死別で孤独感が生じ、その寂しさを埋めようとして、スピリチュアルサイトの占いで鑑定士とのやり取りにハマってしまう人が多いためだそうだ。

「悪質なサイトへアクセスするきっかけは、まずインターネット上の無料鑑定の広告。そして個人情報リストの流出が原因で送られてくるメールの可能性も」(伊藤建弁護士)

その後はアクセスした人間に何度もメールのやり取りをさせて課金ポイントを消費させる。その手口は、先のOさん、Sさんの被害例で見たとおりだ。

「たとえば鑑定士から『1から10までの数字をひとつずつメールで送ってください』と指示が来ます。メールを1通送るのに1500円分のポイントが必要。つまり10通のメールに1万5000円が必要なんです」(伊藤建弁護士)

法律事務所Zの伊藤建弁護士
法律事務所Zの伊藤建弁護士

相手に何度もメールをさせてお金を奪う手口は、出会い系サイトのサクラを思い出させる。実際に出会い系サイトやマッチングアプリで詐欺をおこなっていたグループが、スピ詐欺に転じている例も多いという。

こうしたスピ詐欺の厄介な点として、返金が難しい点も指摘する。

「当たり前ですが“占いが当たらない”“開運のために行動を起こしても運気が上がらない”というだけでは詐欺には問えません。違法となるのは、鑑定士がいないとか、鑑定士がいても何度もメールさせてポイントを消費させる目的と判断される場合ですが、裁判所は被害者側にも落ち度があるとして過失相殺をするケースがほとんどで、全額回収は難しいんです」(伊藤建弁護士)

実際に被害金額の5割から7割返還での和解例が多いという。