退職金は金銭感覚を麻痺させる

実は、「大過なく」定年までの人生を送れるビジネスパーソンはかなりの少数派と言えるでしょう。人生のあちこちには様々な地雷があり、まずはその地雷を踏まず、回避することがもっとも大事だと今は実感しています。

ましてや定年前後となれば、ひとつの「過ちや「難」によって、予定していた計画が水の泡になるどころか、やり直しがきかず、取り返しのつかない最悪の事態に追い込まれる可能性も十分にあります。

自分、配偶者・パートナーの病気や死だけではありません。定年離婚もそうですし、退職金のほとんどを投資や起業、新規開店で溶かしてしまうケースもよく聞きます。

もちろん、長年の夢だった起業や開店に退職金を費やすことを否定はしませんが、うまくいかなかったとしても「小過」程度、最悪でも「中過」で抑え、再起を果たせる力を残しておく計画にしたいものです。

日常では数百円、数千円さえ節約するのに、退職金となると普段なかなか目にしないケタの額のため、金銭感覚が麻痺しがちです。それが2000万円台、3000万円台となれば、逆に「1000万円くらいはいいか」とリミッターのはずれた決断をしやすくなります。

退職金のイメージ(PhotoAC)
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その皮算用が大きくずれ、焦ったり落胆した時こそ冷静な判断ができなくなるので、最初の計画段階で範囲を決め、その範囲内で投資したり、業績がふるわなかった際の対処策を準備しておきたいものです。

私はこれまで一貫して、40代までの若手に起業や開店などのチャレンジをすすめてきましたが、定年が射程圏内に入った世代には、あえておすすめしません。チャレンジするにしても、「大過なく」にできる範囲をしっかり見極めるべきです

定年5年前になったら、定年後の計画も生活も「大過なく」にできることを大原則にしましょう。

文/大塚寿

『定年5年前からの「やってはいけない」』(PHP研究所)
大塚 寿
『定年5年前からの「やってはいけない」』(PHP研究所)
2026年2月2日
1,210円(税込)
256ページ
ISBN: 978-4569860459
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