“断られた”は何を指すのか?

伊藤氏は12月15日、日本外国特派員協会で開いた会見の席上において「今年に入ってから、映画の修正版を弁護団に見せようと働きかけたが、4回断られた」と発言している。

本記事で示したように、元代理人らが求めているのは“書面での回答”であり、伊藤氏らとの直接の対面は求めていなかった。回答を求められ続けたことをもって伊藤氏側は“断られた”と述べているのだろうか。

伊藤氏の代理人の一人である師岡康子弁護士に「西廣弁護士に拒絶されていることは事実か」尋ねるメールを12月16日に送信した。配給会社のスターサンズにも同様のメールを12月23日に送信している。12月25日時点でいずれからも返信はない。

映画は、東京・品川での上映に引き続き、大阪、福岡、横浜、仙台、広島、新潟での拡大公開が決定している。

そして12月25日、伊藤氏側の代理人である神原元弁護士、師岡康子弁護士がファクスを送信。ふたりが伊藤氏の代理人を辞任する旨、佃弁護士に伝えた。

取材・文/高橋ユキ

(*1)上映権を譲渡した作品は、これまで海外で上映されてきた“オリジナル版”か、“オリジナル版”以外のものか、あるいはその両方か、と提示し、この3つのうちどれか、と尋ねている。加えて、最初に送信したファクスと同様、海外の航空機内で上映されていることやフランスでブルーレイディスクが発売されることは事実かと改めて質問していた。

(*2)同日のファクスでは「海外向け配給権を配信代理会社に譲渡(付与)したのは、2024年1月になります」とも記されている。

(*3)同日のファクスでは「当方は、伊藤氏が、本年2月に所要の修正を宣言しておきながら現在においてあらたな権利侵害を発生させている虞があるためにその点についての事実関係を問うているのです。このような状況において、貴職らの今般の対応は、あまりにも誠意がなく、そればかりかむしろ当方を侮辱しているとさえ感じます。貴職らにわずかでも誠意があるのであれば、現状の説明は可能である筈です」とも記されている。

(*4) その後も、9月16日、佃弁護士がファクス送信。「当方は現在、事実関係の把握を必要としており、よってまずは貴職らにおいて、当方の質問にご回答ください」と、あくまでもファクスでの回答を求めた。なお、ファクスを最初に送信した6月からこの時点までに、海外で作品が視聴できる機会が増えていたことから、その事実確認としての質問も加わっている。

(*5)9月25日、佃弁護士はこの質問にファクスで回答し「以上の通り当方は、貴職らのお尋ねの件につき回答致しました。つきましては貴職らも、別紙の質問にお答えください」と、回答を求めた。ところが以後も伊藤氏側は、加城弁護士の立場についての質問を行うなどして、質問への回答はないまま9月が終わった。

(*6)「伊藤詩織さん、運転手に謝罪 それでも残る「映像無断使用」の問題…元代理人「一歩前進だが、説明はないまま」」(https://www.bengo4.com/c_18/n_19553/