やり取りは平行線のまま、日本公開へ…

佃弁護士が質問の回答を書面で求め、伊藤氏側は 直接の対面を繰り返し求めるという、すれ違いのファクス応酬は以降も続き、11月になり、佃弁護士は伊藤氏側に「質問と要求」を記した内容証明を送付した。

弁護士ドットコムニュースにおいて10月29日に公開された記事(*6)に伊藤氏代理人の神原弁護士のコメントが掲載されていることを問題視した内容だ。記事中に神原弁護士は下記のようなコメントを寄せている。

「西廣弁護士側には本年2月以来くり返し、修正したバージョンを見てほしい、面談して経緯など説明したいなどの話し合いを求めていますが、残念ながら拒絶されています。弁護士が元依頼者との話し合いを拒絶している状態です」

佃弁護士は内容証明にて「『本年2月以来くり返し、修正したバージョンを見てほしい』と言ったというのは、一体いつのいかなる事実を指しているのですか」と問う。

内容証明は「貴職らは西廣に対し、『本年2月』はおろか、『修正したバージョンを見てほしい』などとはおよそ言ってきておりません」と続き、弁護士ドットコムニュースに対しコメントの撤回をする旨の連絡をするよう求めた。

すると11月6日、伊藤氏側から次のようなファクスが届く。

「(前段略)このうち①『くり返し』は『話し合いを求めています』を修飾する語であり、②『修正したバージョンを見てほしい』を修飾する語ではありません」

そして再び、直接の話し合いを求めた。

「可能な限り第三者を巻き込まず、当事者間で率直な意見交換により問題を解決することが相当であると考えています。お話し合いの際には、経過説明とともに、当然、修正したバージョンをお見せします」

しかし、問題提起を行なった側の佃弁護士は、ファクスの回答で十分であると求め続ける。11月のファクスでは、弁護士ドットコムニュースにコメントした神原弁護士の「繰り返し」という言葉が、何を修飾するのか……というやりとりが以下のようになされた。

「弁護士ドットコムの記事は到底そのように読めません(以下略)」(11月6日 佃弁護士のファクス)

「(冒頭略)そのような誤解をする人物の存在は確認しました。上の点はさておき、繰り返し申し上げている通り、私としては、本件紛争は当事者間の感情のもつれの部分もあり、また、西廣先生のお気持ちにも思いを致すところであるから、可能な限り、第三者を巻き込まず、当事者間で率直な意見交換により問題を解決することが相当であると考えています(以下略)」(11月6日 伊藤氏側のファクス)

「『上の点はさておき』とは何ですか。当方は、“弁護士ドットコムの記事は貴殿の言うようには読めない。弁護士ドットコムに対して訂正をして欲しい。”と言っているのです(以下略)」(11月6日 佃弁護士のファクス)

「(冒頭略)ドットコムの記述は真実です(以下略)」(11月7日 伊藤氏側の内容証明)

以降もやりとりは続いたが、佃弁護士からの質問への回答はないまま、12月の日本公開に至った。