「音楽を嫌いになりそうだった」

空前の大ヒットにより、CDは650万枚を売り上げた。すると、遅れてデビュー曲もチャートイン。しかし、歌う2人にとって”売れた!”という手応えはなかったそうだ。

「周りの方たちのサポートのおかげだと思います。リーダーは敬吾くんだし、326くんは歌詞担当で、僕は19の中ではいちばん下っ端。みんなにくっついていく感じでした。

楽曲のおかげでNHK紅白歌合戦にも出て、『水・陸・そら、無限大』はシドニーオリンピックの公式応援ソングにも選ばれた。19は僕たちだけの力じゃなくて、事務所やプロデューサー、周りの大人に支えられて大きくなれたんだと思います」

9枚のシングル、3枚のアルバムをリリースし、一躍スターダムへと駆け上がった彼らだが、人気絶頂の中で、19は突如解散を発表する。その理由を尋ねると、彼は静かに迷いのない声で語った。

「純粋に音楽が楽しめなくなってしまったんですよね。誰が悪いわけでもなくて、このまま続けてたら自分たちの音楽を嫌いになりそうだった。19のことを“かっこいい”と思えなくなってしまって。それが一番大きかったです」

音楽が好きだからこそ嫌いになりたくなかったというけんじ 撮影/矢島泰輔
音楽が好きだからこそ嫌いになりたくなかったというけんじ 撮影/矢島泰輔

突然の解散に悲しむファンも多かったが、19は約4年間という活動期間で幕を閉じた。

その後、けんじは3B LAB.☆Sとして、敬吾はソロシンガーとして音楽活動を始めた。解散より前に19を離脱していた326はイラストレーターとして引き続き活躍。それぞれ別々の道を歩み始めるも3人はケンカ別れではないそうだ。今の関係、再結成についてけんじはこう話す。

「今もたまに連絡取ったりしてますよ。再結成?……今のところは考えてないですね。再結成しないっていうのも選択肢としてあっていいかなって思うんです。再結成して、喜んでくれるファンの方がいるかもしれないけど、あの頃の記憶の中にいるっていうのも19っぽいのかなって」