失踪するまでに計9回、川崎臨港署に電話をかけた彩咲陽さん

彩咲陽さんの遺体は4月30日夜、ストーカー規制法違反で県警が家宅捜索した白井被告の自宅で、その一部が見つかった。米国に逃亡していた白井被告が家族の説得で5月3日に帰国すると県警はまず死体遺棄容疑で逮捕し、後に殺人罪も立件・起訴した。

その過程で、彩咲陽さんの家族からの捜査を求める声に地元の川崎臨港署が取り合わなかったことが、家族の証言で明らかになった。

「彩咲陽さんは白井被告と交際していた時期があり、昨年6月以降、殴られたり家から連れ出されたりするトラブルがありました。その時は家族と共に川崎臨港署に相談し、被害届を出しています。

その後、昨年12月上旬には2人は別れたのですが、白井被告が一方的に付きまとう状況になったようです。昨年12月9日から彩咲陽さんが失踪した20日朝までの間に、彼女は計9回、白井被告について相談しようと川崎臨港署に電話をかけ、白井被告が近所をうろついて怖いなどと訴えていました」(地元記者)

岡崎彩咲陽さん(写真/親族提供)
岡崎彩咲陽さん(写真/親族提供)
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そして昨年12月20日、彩咲陽さんは祖母が経営する飲食店のアルバイトを終え、祖母宅に早朝に戻った直後に姿を消した。店で彩咲陽さんと一緒にいた、祖母の姉・岡崎幸子さん(76)が当時のことを振り返る。

「彩咲陽は家で友達とLINEのやり取りをしていたそうです。その友達によると朝8時ごろに急に既読がつかなくなり、このころに異変があったと思います。
休んでいた私の妹(彩咲陽さんの祖母)が11時ごろに彩咲陽がいないのに気づきLINEを送ると、『友達とコンタクトを買いに行く』と返信がありました。白井が成りすまして送ったのだと思います。

彩咲陽は白井におびき出されたと疑いましたが、友だちの家にいるかもとも思いました。何度LINEを送っても既読がつかず、22日に『警察に届けるよ』と送った途端、『疲れただけ』という返信が来ました。そして直後に白井から私に電話が来たんです。

白井は『彩咲陽ちゃんから電話があって“居場所がない”って言ってます』と言いました。私が『あんたが連れ出したんだろ』と詰めると電話は切られ、その後つながらなくなりました」(幸子さん)

岡崎幸子さん(撮影/集英社オンライン)
岡崎幸子さん(撮影/集英社オンライン)

その直後、家の1階の窓ガラスが割れているのを祖母が見つける。彩咲陽さんはおびき出されたのではなく拉致、誘拐されたと確信した家族が110番すると、川崎臨港署員4人が現場に到着。家族は、彩咲陽さんが2日前に失踪したこと、最近も近所をうろついていた白井被告が連れ去ったに違いないと思うことを伝え、捜査を求めた。