勧誘文書は「極端に言えば、給与ゼロでもOK」と主張
この提案に乗ると自営業者は入会金3万と月々の会費を支払いE法人の理事に就任する。月会費の額は明示されておらず、加入者の所得に応じて異なるとみられる。
E法人は「社会保険料負担額を最低水準に落とす」ために試算した給与所得(理事報酬)を自営業者に支払うが、その額は社会保険料の天引き後は「数百円」という少額だ。
労働基準法が生活を保障するための最低賃金を定めている関係で、月額8万8000円以上の報酬がなければ本来は社会保険に加入できない。だが勧誘文書は、理事は労基法の管轄外の役員であるため金額に法的な制約はなく「極端に言えば、給与ゼロでもOK」と主張している。
こうして理事となった会員が行なう「業務」として勧誘文書は、①社会制度や年金制度の知識向上の研鑽、②簡単なアンケート報告、③社団法人(E法人)の事業拡大への協力――の三つを挙げている。
国会で勧誘文書の内容を公表した足立議員は「これが業務か」とこき下ろし、特に③を挙げて「ネズミ講とは言わないが、要は理事になった人はさらに理事を勧誘してくださいということだ」と問題点を指摘した。
集英社オンラインは業務の実態を知るためE法人の所在地を訪ねた。
登記簿に記載がある京都市下京区のマンションでは、郵便受けにE法人と共に税理士法人や株式会社の名も記されている。インタフォンで応答した税理士法人の職員だと名乗る女性は「(栄響連盟のことは)知らないし分からない」と話し、登記簿に書かれているE法人の3人の人物の名を聞かせると「知らない」と答えた。
また、兵庫県のA、B両県議は県議会議長に提出した報告書でE法人は大阪市東淀川区にあると記載している。そこを訪ねると3階建てのビルがあるが建物は全体が使われていない。近所の人は「1年かそれくらい前からあのビルは空っぽです」と話した。
4議員が実際に国保料逃れをしていたことは確認されてはいない。
だが、このうち例えば兵庫県議2人はそれぞれ年間1450万円の議員報酬を受けており、2人が住む神戸市では1人当たり年間の109万円の国保料納入義務がある。
税金で報酬を受け取る県議らがこうしたルールに基づく支払いをきちんとしていたのか、事務所の実態がないE法人の600人を超える理事の中にどのようにして名を連ねることになったのか、そしてなぜ維新の議員ばかりなのか。4人と維新は早期に説明する責任があるだろう。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













