「『私はバカで一生受からない』という心理状態になりました」

その後、伊藤真弁護士による司法試験塾『伊藤塾』に入り、7つの基本法律科目のオンライン授業をスキマ時間を見つけてはコツコツ受け始めたのだという。3人の子どもを育てる中でスキマ時間はどのように作ったのか。

「ちょうど子どもが小学校受験のタイミングでもあったので、塾の待ち時間の3時間は貴重でした。その時間にスタバで勉強したり、1時間とか短いお稽古中の送迎の合間に、車内、図書館、あらゆる場所を利用していました」

2022年4月に早稲田大学のロースクールに入学し、通学での授業が増えてからは、勉強のためにさらに睡眠時間を削るようになった。

「家事や育児は疎かにできないので、早い時は朝4時に起きて早朝に勉強し、子どもの幼稚園の見送りをしてから大学へ。夕方まで授業を受けて、帰りが遅い時はお弁当を買って帰って食べさせたこともありました。子どもを寝かしつけた後は深夜2時まで勉強して、睡眠時間が3、4時間になることもありました」

今回の司法試験の合格は1度目ではなかった。

「3回目でやっとの合格でした。昨年2回目の挑戦で落ちた時は本当にショックで『私はバカで一生受からない』という気持ちになりました」

そんな厳しい心理状態の中においても3度目の合格を勝ち取ったモナさん。今後は1年間の「司法修習」を経て、通称「二回試験」という最終試験も受けなければいけない。しかしすでに就職先の法律事務所の内定はもらっているのだという。

「弁護士の就活は司法試験の合否がわからない状態でも始められるのです。それで私は企業法務を専門とした事務所に内定をいただきました」

友人に合格を祝ってもらう山本モナさん(本人Instagramより)
友人に合格を祝ってもらう山本モナさん(本人Instagramより)

聞けば弁護士登録の名前は結婚後の姓ではなく「山本モナ」で登録するそうだ。

「今までのキャリアで成功も失敗もあるけれど、私の山本モナとしてのキャリアは、すべて糧になっている、その糧を活かしてやるためにも山本姓でやろうと思いました」

「一生受からないと思った」山本モナ49歳、3度目の挑戦でつかんだ弁護士への道…目指したキッカケは「社会の一員として存在していないことに気づいた」_4
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今度の正月は久しぶりにゆっくり過ごせそうだと笑う。

「もちろんまだ勉強はしないといけないのですが、久しぶりに勉強を休んで過ごせるお正月です。家族とゆっくりと自宅で過ごそうと思います」

「二回試験(司法修習生考試)」を受けて合格すれば、再来年の4月からは晴れて内定している法律事務所で働くことになる。颯爽と法廷に向かう姿が、今から想像できるほどだ。モナさんの今後の活躍にエールを送りたい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 撮影/村上庄吾