「すべて自分で決めて、その結果に全責任を負いたい」

伊東楓さんは2016年にTBSへ入社し、アナウンサーとして約5年間勤務したのち、2021年2月末に同局を退社。

現在は、黒髪のアナウンサー時代とは一変した金髪姿でSNSなどにも登場し、その変貌ぶりが話題を呼んでいる。

今回は、現在滞在しているというアメリカから、伊東さんにリモートで話を聞いた。

元TBSアナウンサーで画家の伊東楓さん(写真/集英社オンライン)
元TBSアナウンサーで画家の伊東楓さん(写真/集英社オンライン)
すべての画像を見る

——そもそも、伊東さんがアナウンサーを辞めた理由は何だったのでしょう?

伊東楓(以下、同) アナウンサーは、ニュース番組では記者が書いた原稿を読み、バラエティ番組では作家が書いた台本を読む、という仕事ですよね。そうした日々を続ける中で、「これは自分の言葉じゃない」と強く違和感を覚える出来事があったんです。

それをきっかけに、「私は誰かの代弁者ではなく、自分の思っていることを自分の言葉で伝えたい人なんだ」と気づき、退職を決意しました。

私は「すべて自分で決めて、その結果に全責任を負いたい」という性格なんです。そもそも会社員という働き方が、自分には合っていなかったのだと思います。

——絵を描き始めたきっかけを教えてください。

アナウンサー時代、とある番組のコーナーで、ホワイトボードに即興で絵を描く役割を任されたことがあり、それがきっかけで絵の練習を始めました。

最初は「地上波で下手な絵は披露できない」という思いから、仕事の合間や夜中にデッサンやスケッチをしていたんです。

でも気づけば、アナウンサー時代に感じていた葛藤やモヤモヤを、全部絵にぶつけていたんです。絵を描いているときは無心になれたし、紙の上では何もかも自分の思うままに表現できた。

だからこそ、自分の中でバランスが取れていたんだと思います。それがきっかけで、「表現者になろう」と決めました。