クライアントからの修正問題

──自分起点で作る音楽と、今回のサントラのように、依頼があって作る音楽とでは、意識はどのように違いますか。

テーマ設定を自分がするか否か、という点ですね。依頼があって作る音楽は、「こういう曲を作る」っていうゴールを、クライアントの方が決めるわけです。自分がレコード会社から出すアルバムの曲などは、歌やラップのゲストがいる曲であれ、自分がゴールを決める。そこはかなり違うポイントですね。

──同時に複数の楽曲、複数の案件を進めるにあたって、タスク管理はどのように行なっていますか。

基本的に、自分は「大タスク帳」「小タスク帳」という風に2つに分けていて、「大」は週間ペースで更新されていく、進行中のプロジェクトを書いていて、それとは別に「小」では「今、直近でやらなければいけないこと」が書いてるという感じです。タスク帳って言ってますけど、実際はObsidianっていうノートアプリを使ってやっています。

例えば「大タスク」には“『正反対な君と僕』サントラ”と書いていて「小タスク」には“M-8 ミックスダウン 明日まで”というようなタスクが書いてある、みたいな。大タスクは週に1回、会社の定例のときに書き足して、小タスクはその日できなかったものは翌日にも繰り越されて、達成したら消す、という感じですね。

タスク帳とは別に『正反対な君と僕』専用のGoogleスプレッドシートもあって、そこでは各楽曲が今どれくらい進んでるかわかるようになっていて、進捗の管理表になっています。

これまで映画『寝ても覚めても』『北極百貨店のコンシェルジュさん』なども音楽も手掛けてきた
これまで映画『寝ても覚めても』『北極百貨店のコンシェルジュさん』なども音楽も手掛けてきた

──クライアントから修正や追加のオーダーを受けた際には、どのような心構えで対応していますか。

『正反対な君と僕』に関しては、そこで悩む場面はあまりなかったですね。こちらが提案したものがそのまま通ることが多く、非常にありがたかったです。なので、それ以外の仕事の話になりますが、まあ、やっぱりさっき言ったゴール設定の話にも通じますが、基本的にはそこで自分のエゴを通してもしょうがないので、できる限り対応していきますね。

──粛々と受け入れて対応する、と。デビュー当初から、そういう心構えで仕事に臨んでいましたか?

いやー、昔はまったくそうじゃなかったですね。修正が来すぎてキレたりしてました(笑)。でも、当時所属していたレコード会社の担当社員さんに「そんなことじゃ仕事にならないよ」と普通に説教されて、まあ、それもそうだなと反省しました。

結局、音楽を作る人間は孫請けみたいな立場ですから。そこで「自分はこうしたい」というのは、甘かったと思います。今はもう、修正がいっぱい来たからといって「やりません!」とゴネるようなことはないですね。ムカつくときはありますけど(笑)。その点『正反対な君と僕』は、安心して進められる環境でしたね。