統計数字を操作して体裁を整える中国当局の習性
2030年には3%、あるいはそれ以下への減速が必至だという見方は、決して悲観的すぎるものではない。むしろ、統計数字を操作して体裁を整える中国当局の習性を考えれば、実態はもっと悪い可能性すらある。
もちろん、中国の指導部も何もしていないわけではない。不動産依存からの脱却を目指して、必死にハイテク産業への転換を図っている。しかし、ここで冷静に考えてみてほしい。経済改革には、痛みが伴う。既得権益を壊し、非効率な国有企業を整理し、市場の自由に任せる。それが本来の改革だ。
だが、今の体制にそれができるだろうか。すべての権力を党に集中させ、民間企業の首根っこを押さえつけるような統制強化の動きは、自由なイノベーションとは正反対の方向だ。
「改革成功で減速回避可能」というシナリオは、理論上はあり得る。だが、それは今の政治体制が、自らの権力を削ってでも経済合理性を優先する場合に限られる。
現状を見る限り、その確率は低いと言わざるを得ない。経済よりも統制、自由よりも規律を重んじる今の空気の中では、改革は掛け声倒れに終わるリスクが高い。
文/小倉健一 写真/shutterstock













