「成長」ではなく、「膨張」と呼ぶべき不健全な現象
日本の投資家が、中国経済に対して抱いている違和感、そして不安。それは決して間違った感情ではない。むしろ、その直感こそが、これからの激動の時代を生き抜くための最も信頼できる羅針盤となりえよう。
連日報じられる中国の「EV(電気自動車)墓場」の映像をご覧になったことがあるだろうか。広大な空き地に、ナンバープレートも付いていない新品同様の電気自動車が、雑草に埋もれて何千台、何万台と放置されている光景だ。
空から撮影されたその映像は、まるで現代文明の墓標のようであり、見る者の背筋を寒くさせる。
これは、政府の補助金目当てに企業が車を作りすぎ、需要もないのに生産ラインを止められないという、歪んだ構造の象徴だ。私たちはこの光景から目を背けてはならない。ここにあるのは「成長」ではなく、「膨張」と呼ぶべき不健全な現象だからだ。
ステロイド剤を打ち続けて無理やり体を大きく見せる
2025年末現在、中国経済は表面的には持ち直しているように見える。おそらく2026年には、5%程度の成長率を叩き出すだろう。しかし、その数字に騙されてはいけない。それは、健康な筋肉がついた結果ではなく、ステロイド剤を打ち続けて無理やり体を大きく見せているようなものだ。
ゴールドマン・サックスは、2025年11月のレポートで、輸出主導による短期的な成長を予測している。
「中国の実質輸出の伸びは、今後数年間で年率5〜6%になると予想されており、以前の予測である2〜3%から上方修正された。これは中国製品が世界市場でのシェアを獲得しているためである」
「(ゴールドマン・サックスは)中国の2025年の実質GDP成長率予測を4.9%から5.0%に微修正し、さらに今後2年間の予測については、より大きな上方修正を行った。これは、より強力な輸出が経済全体の拡大を牽引するという見方に基づいている。ゴールドマン・サックスのリサーチ部門は、2026年の実質GDP成長率予測を4.3%から4.8%へ、2027年の予測を4.0%から4.7%へと引き上げた」(ゴールドマン・サックス「China’s Economy is Forecast to Grow Faster Than Expected in 2026」)













