「まいばすけっと」の課題を克服した「トライアルGO」

一般的にコンビニの弁当やおにぎりは、提供するベンダーが本部の強い影響下に置かれている。コンビニやスーパー向けにお弁当、おにぎり、惣菜などを製造・供給する中食ベンダーのわらべや日洋は、2000億円以上ある売上の8割近くがセブン-イレブン向けである。

弁当はコンビニの生命線とも言える商品のため、本部とベンダーは一丸となり、長い時間と熱量をかけて商品のブラッシュアップを図ってきた。

一方、「まいばすけっと」は、「トップヴァリュ」のチルド・冷凍・レトルト食品が充実しており、利益率が高いプライベートブランドの構成比率を上げるという経営戦略もあって弁当や惣菜の強化を図るという道をとりづらい。

このすき間を縫うようにして都心に攻め込んだのが今年11月7日に都内初出店を果たした「トライアルGO」だ。

例えば、福岡発のディスカウントストア「トライアル」が展開する次世代型小型スーパー「トライアルGO」では看板メニューの「ロースかつ重」が343円で販売されている(2025年12月16日時点)。この商品はコストパフォーマンスが高いと評判がいい。惣菜の高評価の秘訣は何なのか。

「トライアルGO」は西友のサテライト店舗という位置づけで小型店のため、店内調理を行なうことができない。同じ小型店舗でも、セントラルキッチンを使うコンビニは全国に配送網を築いているため、低コスト化を図ることができるが、東京23区への出店が十分でないために物流費がかさんでしまう。そこで今年7月に買収した「西友」のキッチンを使ってサテライト店舗で販売するという方式を採用した。

2025年7月、福岡県が本社のトライアルホールディングスの完全子会社となった総合スーパー「西友」(写真/shutterstock)
2025年7月、福岡県が本社のトライアルホールディングスの完全子会社となった総合スーパー「西友」(写真/shutterstock)

「トライアルGO」はオペレーションの簡略化も図っており、賞味期限に応じて時間に応じた値下げを自動で実施。顔認証による決済が可能で、一度登録するとそれ以降は財布やアプリが必要ないという仕組みを採用している。得意の省人化を徹底的に推し進めているのだ。

ただし、「トライアルGO」にも課題はある。小型店であるがゆえに西友よりも割高だという点だ。さらに出店場所が西友の近くに限られるため、拡大スピードも限られる可能性が高い。