「奇妙」「不気味」は最大級の賛辞
――結成3年でここまで大躍進を遂げたのは、17人の努力の賜物だと思います。特に印象に残っているパフォーマンスは?
sono やっぱり(アメリカNBCのオーディション番組)『アメリカズ・ゴット・タレント』です。日本の歌謡曲で踊るので、海外のお客さんに歌詞もダンスも伝わるのか不安でした。実際、踊る前は「この子たち、なんなんやろ?」という雰囲気だったんですが、踊り出した瞬間にみんなの目の色が変わって、最後はスタンディングオベーションをもらえた。その瞬間、ダンスは言語を超えると感じました。SNSのコメントやフォロワーも増えましたね。
nagano 「奇妙」や「不気味」という感想も多かったですが、それは私たちにとってほめ言葉なのでうれしかったです。「なんやねん、この子ら?」という最初の視線が、一番おいしい。違和感って、興味の入口なんです。
あと私は国内外でやったワンマンライブも印象深いです。発足当初はこのチームでライブができるなんて夢にも思っていなかったので、すべてのライブが私の宝物です。
――ステージでのハプニングは?
nagano・sono あります、 あります(笑)。
nagano フォーメーションが緻密なので、少しズレると(他のメンバーの)肘がみぞおちに刺さったりします(笑)。
sono 早着替えが間に合わないこともありました。
nagano ハプニングではないですが、真顔をキープするため口を閉じて踊る訓練をずっとしていて。鼻呼吸なので、写真では鼻の穴が広がっていることが多いです(笑)。
SNSは自由。ただし“看板”は守る
――メンバーそれぞれがSNS発信をしていますが、チームとしてのNG事項はありますか?
nagano 特にありません。ただ、おかっぱと制服のビジュアルは自分たちの看板なので、そこは崩さず守っています。アバンギャルディのときは没個性ということではなく、ライブではそれぞれが得意なことを披露するので個性は出しまくりです。
sono 作品の中でも全員が同じというわけではなく、1人1人が違う表情をしたり、個性を生かした動きをするので、それを楽しみながらやっています。ただ17人で集まったときは個よりもアバンギャルディとしての個性を優先させたい。集団の良さを見せたいと思っています。
――今後の目標は?
nagano 「これはダンスじゃない、集団行動だ」と言われることもありますが、それも含めて誰もやっていない“アバンギャルディ”というひとつのジャンルになっていると思います。その強みをどんどん生かしていきたいですね。
sono 17人でしか表現できないパフォーマンスなので、それをこれからも追求したいです。ただ、まだ認知度は十分ではなく、街中でSNS撮影をしていても「見たことあるけど誰だっけ?」と言われることも多い。なので、アバンギャルディという名前をもっと多くの人に知ってもらいたいです。
nagano そのためにも、自分たちの公演をもっと世界各地でやりたい。そして、今後もこの17人でずっと踊り続けたいですね。
取材・文/若松正子 写真/わけとく
<プロフィール>
アバンギャルディ
2022年に結成された、振付師・akaneプロデュースのダンスチーム。アメリカのオーディション番組『アメリカズ・ゴット・タレント』出場のほか、紅白歌合戦や関西万博開会式でもパフォーマンスを披露。2025年4月には初のオリジナル楽曲『OKP Cipher』を配信。













