芸能事務所各社が注目する「ショートドラマ」

1話あたりの長さは2~3分程度。スマートフォンでの視聴を前提として制作される、縦型ショートドラマ。

TikTokによると、「#ショートドラマ」を付けて投稿された動画の再生回数は2024年6月時点で727億回超え。24年上半期に最も流行ったトレンドを決定する「TikTok上半期トレンド大賞2024」では、“ショートドラマ”が大賞を受賞した。

この新たな映像コンテンツに、いま芸能事務所各社が熱い視線を送っている。ショートドラマに出演することで知名度が上昇し、活躍の場を広げる俳優が生まれ始めているのだ。

映像制作ユニット「こねこフィルム」に参加する女優の赤間麻里子は、再生回数が1900万回を超えた『年齢確認VSプライド』などに出演し、若い世代からも“マリリン”の愛称で親しまれるように。

2024年は、朝ドラ『虎に翼』(NHK)や現在放送中の日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)といった話題作に相次いで出演するなど、現在54歳にしてブレイクを果たした。

『3年C組は不倫してます。』(日テレ系)に出演する鎌田あゆと豊田ルナも、ショートドラマをきっかけに活躍の場を広げた2人。彼女たちは、日本テレビとクリエイティブカンパニー「ごっこ倶楽部」がタッグを組んで制作・配信するプロジェクト『毎⽇はにかむ僕たちは。』(以下、『まいはに』)などに出演している。

「ショートドラマが若手俳優にとって飛躍の場となる3つの理由」

「ショートドラマは、人気俳優への新たな登竜門になりつつある」。昨今、そんな声が業界で聞かれるようになった。

これまでも、俳優の登竜門と呼ばれる“場”は様々あった。NHK連続テレビ小説はその筆頭だろう。ヒロインを務めた多くの女優が国民的な人気を得ているほか、ヒロインの恋人や兄弟、親友役を演じた男性俳優もブレイクするケースが続いている。

また、菅田将暉、福士蒼汰、竹内涼真、高橋文哉らを輩出した『仮面ライダー』シリーズ、そして松坂桃李、志尊淳、横浜流星らが出演した『スーパー戦隊』シリーズといった“戦隊モノ”もよく知られる登竜門の1つだ。

学園モノも登竜門と言っていいだろう。近年では、今田美桜、堀田真由、森七菜、萩原利久、神尾楓珠らが出演した『3年A組-今から皆さんは、人質です-』(2019年)が記憶に新しい。

また昨今は、深夜ドラマが若手の飛躍の場に。なかでも赤楚衛二と町田啓太が大ブレイクを果たした『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』などBL作品にも注目が集まっている。

これらとショートドラマには、どのような違いがあるのか。『まいはに』のプロデューサーを務める、日本テレビ総合編成センターメディア開発Divプロデューサーの井上直也氏と、同Divプロデューサーの平岡辰太朗氏は、大きく3つのポイントがあると上げる。