「3階建てでも夕やけが見えなくなってしまう」
荒川区にも経緯を確認したところ、都市計画課の担当者は次のように説明した。
「地域で『地区計画』を立てると、土地計画上の決め事ができ、建築物の高さにも制限をかけることが可能になります。過去には地区計画の策定に向けて地域で検討が進められたこともありました。
ただ、高さを制限すると土地の価格にも影響が出ます。その部分で懸念を示される住民の方もおり、合意までには至らなかったという経緯があります」
住民側からの要望も受けて、マンションは予定よりも1階層減らして建設を進めている。2棟のうち1棟が8階建てから7階建てに、もう1棟が7階建てから6階建てに変更されたという。
「我々がシミュレーションしたところ、3階建てにしても夕やけが見えなくなってしまうことがわかりました。たとえばそれを2階建てまでに規制するように行政が関与できるかというと、難しい面があります。
荒川区は観光地と言える所があまりないため、私どもとしては夕やけだんだんを守っていきたいという思いはあります。ただ、民間の土地ですと自治体としても手出しができません。多くの方から『景観を守ってほしい』というご意見や、一部には『建設を止めてほしい』というご意見もいただいていますが、現行法上では難しいと言わざるを得ません」
失われていく景観を守るために、どのような法制度や規制のあり方が望ましいのか。今後も継続的な議論が求められている。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













