「ルールを守らない配達員がいる」

8月24日、X(旧ツイッター)に投稿された「貼り紙」の文言はあけすけだった。

「〜Amazon宅配業者へのお知らせ〜 建物の美観を損なう恐れのある『角バッグ又は籠等』を使っての館内配達は禁止です。損傷の恐れある行為として警察に通報します。※防犯カメラ作動中」という文章の最後に、マンション名とともに「管理室」と記してあり、エントランスのインターフォンの上に貼られていたようだ。

この貼り紙がSNSにさらされると、すぐに炎上。話題になっている。たしかに住民が頼んだ荷物を配達しただけで警察に通報されたのでは配達員もたまったものではない。

SNSをみた都内在住の宅配員は怒り心頭だった。

炎上した貼り紙
炎上した貼り紙
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「景観を損なうってスーツを着ろってことでしょうか(苦笑)。僕は大手の業務委託をうけている個人事業主なんですが歩合制なんですよね。

1個でも多く荷物を配らないと金にならないし、仕事ではカートやでかいバックがないとスムーズに宅配ができません。朝から夜まで何百個も荷物を運んで、なんとか家族で生活できている。この貼り紙は上から目線でバカにしていますね」

同マンションは東京メトロ広尾駅や表参道駅から歩ける高級ブランドマンションだ。大通りに面してパーキングメーターも多数あり、付近には多くの芸能人やスポーツ選手が住む高級マンションが林立している。

取材に訪れた8月27日午後、貼り紙は「現場」から既に撤去されていた。エントランスから出てきた住人に事情を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「実際に宅配業者がカートで乱暴に配達して高級な石の床を傷つけたことがあって、いまでも傷が残っているんですよ。それで管理室がこんな注意書きを作って、もう1年以上前から貼られていたと思います。

ここには賃貸の入居者もいるけど、分譲の方たちも結構住んでいるので、そういう人たちから苦情があったのかもしれませんね。

籠とか角バッグというのが何を指しているのかわかりませんが、ウーバーとかで態度の悪い人もいたり、エレベーターが狭くてバッグがガチガチあたるからからそれがイヤなときもありますね。ただ、この貼り紙の書き方は、ちょっと問題ある気もします」(30代男性)

現場となったマンション(撮影/集英社オンライン)
現場となったマンション(撮影/集英社オンライン)

近くで配達中の宅配業者の20代男性が取材に応じてくれた。

「ここのマンションの管理人さん曰く、ドンッて荷物を置いたり台車を引きずったりして下のタイルとかが傷つかないようにしたいそうなんですね。本当は僕らも台車とかあった方が楽なんですけど。

まあ、ここに来ていた一部の配達員さんはルールを守らない人が多いんですよ。思い切りドアを閉めて宅配ボックス壊しちゃったりとか、他のマンションに誤配して、さらにそこのボックス開けられなくしちゃったり。

そういう配達マナーの悪い人のせいで、ああいった貼り紙とか配達ルールが生まれちゃうんですよね。あれだけ見ると管理人さんが悪く見えちゃいますけど、同業者の僕らから見ても仕方ない部分はあるし、ふだんはすごく優しい方です」