視聴者も巻き込む “真の実力勝負”時代へ

ビューティーこくぶが『クリスマスキャロルの頃には』で稲垣潤一のものまねを披露した際に、過剰なマイク捌きをネタとして取り入れた結果、審査員のhitomiから「あれは稲垣さんもやるんですか?」「途中で“あれはなんだろう”と思っちゃって」とコメントをしたことは、往年の『ものまね王座』を知るものとしては衝撃のシーンだったろう。

あれだけのブームだったから、当時の幻影を追ってしまう視聴者やプレイヤーは少なくない。しかし、あえて言うならば、あの頃とは「別物」として今の王座をとらえるべきなのだろう。

とはいえ、『ものまね王座決定戦』は年に一度のお祭りであり、ものまね芸人にとって「いつかは手にしたい冠」であり続けている。かつてないほど“真の実力勝負”に近づいた今こそ、審査員も含めて世間を巻き込む大きな“内輪”をつくり、ものまね文化への強いメッセージを発信し続けてほしい。

文/森野広明