次世代歌姫たちの熱戦──SNS時代の新たな王者争い

原口あきまさは、勝俣州和のものまねをするときに「結局、ものまねって、歌まねとしゃべりものまねの格闘技なんですよ!」というフレーズをよく口にするが、バトル系番組への出演を長く封印してきた彼が、今回9年ぶりに『ものまね王座』へ参戦する。

しゃべりものまねで一時代を築いたが、単独ライブでは生バンドを従え、歌まねブームにも対応してきた彼が、再び“格闘技のリング”に立つこと自体が、ひとつの事件である。

一方、ものまね王座の遺伝子を色濃く引き継ぐレッツゴーよしまさは、単独ライブ(リサイタル)では、昭和歌謡や若手演歌歌手のものまねなどに振り切り、「懐かしのものまね王座」の香りを撒き散らす独特路線を突っ切っている。

さらに、ミラクルひかるとキンタロー。が“女コロッケ”的ポジションを争う一方で、次世代の「ものまね歌姫」争いも激しい。2023年優勝のななみななが一歩リードしている感はあるものの、レパートリーが近いnanamiとよよよちゃん、同番組で着実に力をつけてきた針谷紀久子、今年8月にテレビ東京の歌まね番組で女性チャンピオンになったカトリーナ陽子など、SNSでも活躍する次世代歌姫が、ダークホース的に優勝をさらう展開は十分ありえる。

令和のものまね界を象徴するシンガーソングライターnanami(本人Instagramより)
令和のものまね界を象徴するシンガーソングライターnanami(本人Instagramより)
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局の縛りがなくなったことで、出演者にとっては自由度が上がる一方、実力がよりシビアに問われるようになった。ちなみに、レッツゴーよしまさは今回のオーディションに落選したのだそうだ。

そして、ここで番組への提言をひとつ挙げるとすれば、今後、審査員の選定にもさらにこだわってもらいたい。なんとなく“雰囲気で”見ていられる番組ではあるが、その一方でルールは細かく変動しており、制作側が試行錯誤を続けていることは見て取れる。

昨年の大会では、ボイストレーナーの今井マサキが審査員として参加し、専門性の高いジャッジを行なっていたが、その分、笑いの要素が減点材料として働いてしまう場面も見られた。