「郊外物件や狭小戸建で50年ローンはおすすめできない」

返済序盤で元本が減少するペースが遅いということは、離婚や病気などで住宅を手放さなければならなくなったときに、物件の価値よりも借金の残高が大きくなる「残債割れ」のリスクが大きくなるということでもある。

「郊外物件や狭小戸建では50年ローンを組むことはあまりおすすめできない」

都内の不動産仲介会社で働くA氏は語る。

過去10年以上、価格が上昇する一方だった都心のマンションとは違い、狭小戸建や郊外のマンションは経年により市場価格が落ちているものも少なくない。

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「10年、20年経った時点で売却しようと思っても、残債割れとなって身動きが取れなくなる可能性がある」(A氏)という。では、どういう人が50年ローンを使うべきなのか。

「最初から50年ローンを使うことを前提に家を探した」

最近、江東区でマンションを購入した33歳のBさんはこう語る。実際には80歳までしか借りられないので47年ローンだが、それでも十分だという。「返済額を抑えることで予算が増えたし、余裕が出た分はNISAに投じることで資産運用にまわしている」という。

ネット銀行の場合、50年ローンは金利が0.1%程度上乗せされるが、まだ借り入れ金利は1%を下回っている。

実は35年ローンを35年かけて返済する人は少数派

投資信託で積み立てているオルカンやS&P500の利回りを年3〜4%と計算すれば、「可能な限り月々の支払いを抑え、投資に回した方が得だ」という結論に至ったという。

世界の株式市場がいつまでも右肩上がりが続くという保証はないが、「中長期的に円安が進むという想定の下、最大の負債である住宅ローンを日本円で借り入れ、資産をドルに連動する投資信託で運用することは、為替リスクに対するヘッジとして機能する」とBさんは語る。

マネーリテラシーが高く、手元資金に余裕がある層にとっては、若いうちの住宅ローンの返済負担を抑えながら資産運用に資金を投じるのは、理にかなった行動といえるだろう。

実は35年ローンでも、実際に35年間かけて返済する人は少数派で、ライフスタイルの変化に合わせて物件を売却して住み替える人は多い。

80歳まで返済が続くと聞くとギョッとするかもしれないが、手元資金に余裕を持たせるために50年ローンを借りるというのは一つの戦略といえる。

そもそも、残債割れも絶対に悪いという訳ではない。トータルでかかった費用が賃貸で同じ物件を借りた場合よりも低ければ、購入が正しかったといえるだろう。

一方、都心部のマンションであっても、絶対に安全とは言い切れない。特に危ないのが、資産価値を過信して、与信目一杯で借りるパターンだ。

「マンションは資産だという話を鵜呑みにして、入社2年目や3年目の若者が50年ローンで1LDKを購入する例が相次いでいる」と前述の不動産仲介会社で働くA氏は話す。