GAKU-MCが歌う理由

社会貢献活動も、GAKU-MCにとって大きな軸の1つだ。2011年の東日本大震災後、ボランティア活動に従事し、翌年には復興音楽イベント「アカリトライブ」を立ち上げた。

「震災でライブが全部できなくなってしまったとき、ボランティアで東北に行く機会をもらったんです。テントや道具を持って向かい、ミュージシャン仲間と一緒に泥かきしたり、炊き出ししたり。ただ、最初は『こんな状況でライブなんてやるべきじゃない』と感じました。

でも、何度も通ってるうちに、現地の人たちが少しずつ生活を取り戻し、あるとき『お祭りで歌ってくれませんか?』と声をかけていただいて。そこで初めて『あ、歌ってもいいんだな』って思えたんです。やっぱり適切なタイミングに、適切なことをするべきですよね。必要としてくれる人がいるなら、僕らが行って歌う意味はあるんだと思います。

『キャンドルの灯と音楽で心をつなごう』をテーマに『アカリトライブ』を定期的に行ってるんですけど、これは普段から同じ志を持ったミュージシャンとコミュニケーションを取るためでもあるんです。万が一なにか起こってしまった際に、適切なタイミングが来たら、『みんなで行こうよ』と声をかけられるようにしておきたいので」

社会貢献にも力を注ぐGAKU-MC 撮影/廣瀬靖士
社会貢献にも力を注ぐGAKU-MC 撮影/廣瀬靖士
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今年8月には、様々な競技のトップアスリートがスポーツの力で社会課題に挑むプロジェクト『HEROs』のテーマソング「HEROsのテーマ」をリリースした。このように音楽とスポーツ、社会貢献活動を融合した取り組みはますます広がりを見せている。今、音楽を軸とする活動ができるのは、「DA.YO.NE」のヒットがあったからこそとGAKU-MCは語る。

「『DA.YO.NE』がヒットしたことで、生業として音楽を選べると思えるようになりました。ヒットによって、発言力も増したと感じます。ヒップホップ初のミリオンセラーに到達したことで、『僕はこういうことやりたい』といった自分の意見を聞いてもらえるようになったというか。

EAST END×YURIの経験があるから今でも音楽を続けられているし、自分の意見を芯を持って伝えられると思います」

GAKU-MCの活動は、スポーツや社会との関わりを通じて広がり続けている。その歩みは、迷いながら進む後輩たちにとってもひとつの道しるべとなるだろう。

(前編はこちら)

取材・文/羽田健治 撮影/廣瀬靖士

New Digital Single 「アゲナゲナゲン」
2025.11.20 Release
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