「一般受験組はねぇ…」とマウント開始

一方で、後輩とのやり取りでは別の顔を見せる。11月3日の放送では、雨、木、目、月の絵文字を並べたイラストを見て「これは何月?」というクイズが出題された。絵文字を漢字に変換すると霜月=11月。

答えを一斉にコールする場面で安住が「霜月…」と口走ると、入社5年目の佐々木舞音アナがすかさず「(答えは)数字です」とピシャリ。

その後、安住はやり返すように「それでは佐々木さんから1月から順番にお願いします」と旧暦を答えるように無茶振り。入社7年目の宇賀神メグアナが「厳しい…」と苦笑すると、「厳しくないですよ社会人ですから」と、突然上司の顔をのぞかせた。

なんとか佐々木が「5月は皐月です」「あとはみなさんで」と濁して終わらせたが、安住はそこで「一般受験組は(できるけど)ねぇ…」と、推薦入試組にマウントを取り始める。なお、安住が推薦入試組へ毒を吐くのは、今回が初めてではない。

佐々木舞音が卒業した上智大学(画像/ Shutterstock)
佐々木舞音が卒業した上智大学(画像/ Shutterstock)
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恒例のこの発言には〈また安住アナの推薦入試嫌いが炸裂〉〈きた、入試の話w〉〈朝から炎上するぞ〉といった反応がXでも相次いだ。

とはいえ、この日はすぐに「またこれ言うと問題になるからね、忘れてください」と自らブレーキをかけ、コーナーを締めた。完璧な人間ではなく、“一般入試”と“推薦入試”の違いという庶民的な話題にふと踏み込む――そんな素朴な毒気こそ、安住が長く愛される理由のひとつかもしれない。

11月1日放送の『情報7daysニュースキャスター』では、安住と司会を務める三谷幸喜に「ワールドシリーズあんまり興味ないですよね」と振り、「何勝何敗とか聞かないでください」と自ら甘い球を投げた三谷にロサンゼルス・ドジャースが何勝何敗か追い詰めた。

かつて『ぴったんこカン・カン』で鍛えられた、大物相手でも物怖じせず、巧みに笑いを生み出す能力も安住の人気を押し上げた要因だ。

いまのTBSでは、若いアナウンサーたちが個性を競い合いながら新しい時代をつくっている。その中で、安住紳一郎は変わらない立ち位置のまま、生放送という場に立ち続けている。完璧すぎず、かといって崩れもしない。その姿勢が、混沌としたテレビの世界で、いまいちばん現実的な“安定”を見せているのかもしれない。

文/ノブユキ