「ズブズブになった市政の“地ならし”だけは…」

不信任議決の回避も出直し市長選での当選も難しくなった田久保市長。片桐氏の当落判明後に報道各社の取材に応じると18日夜には約束していたが、片桐氏の万歳三唱をすると取材を受けず報道陣の前から姿を消した。「先に帰ってしまいました」と地元記者は話す。

田久保市長は今、何を思うのか。集英社オンラインが選挙期間中に単独で行なったインタビューで「再度不信任が出て失職すればどうするのか」とたずねると、市長は「失職という形になれば市長選になるわけですが、それでも私にまた期待をしていただいているみなさんに推していただけるのであれば、それは全力で挑みたいなとは思います」と答えていた。

さらに18日夜、片桐氏のマイク納めが終わった直後にも報道陣との雑談の中で田久保市長は「私は改革の火は消すべきじゃないと思ってます。その役割が私が一番(適任)であると皆さんが言っていただけるなら、引き続き私も頑張りますけれども」と話し、支持する声があることを前提に出直し市長選出馬に前向きな考えを見せていた。

伊東市の田久保眞紀市長の机(撮影/集英社オンライン)
伊東市の田久保眞紀市長の机(撮影/集英社オンライン)

だが、友人に漏らしている“本音”には弱気がのぞく。市長に近い関係者が話す。

「田久保さんは以前、伊豆高原でカフェを経営していたんですね。で、最近『もう(市長を)辞めて、普通にカフェをやって一般市民として楽しく生きていく方がいいかなって思う時もあるけど、やっぱり自分を支援してくれた方の思いに応えなきゃとも思うし、ここまでやったからとりあえず(もういい)、っていうのもあるし』と言っていて、気持ちは揺れているようです」(関係者)

ただこのまま終わる気配でもない。迷いを口にしながらも田久保市長はこうも言ったという。

「とりあえず、ズブズブになった市政の“地ならし”だけはして終わりたい」

再選挙に自ら打って出て最後の訴えをするのか、後継者を送り出すのか。公職選挙法違反などの複数の容疑で刑事告発を受ける田久保市長は、市長職を失えば捜査の包囲網が一気に狭まる可能性もある。崖っぷちに追い込まれた市長に最後の一手はあるのか――。

伊東市役所(撮影/集英社オンライン)
伊東市役所(撮影/集英社オンライン)
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班