「7人に上るとの見方もあったが、結局1人」

選挙戦最終日の18日夜も片桐氏のマイク納めに駆け付けた田久保市長は「たくさん新人の人が出てくれてすごく嬉しい。これでまた伊東の街の改革が一歩前に進むんじゃないかと大きく期待をさせてもらってます。その中で片桐君には一番期待させてもらってます」と元気いっぱいに演説。

記者から「(議会解散に)大義はあったのか」と再度質されると、「われらの大義に曇りなし、です」と反撃していた。

そして迎えた選挙当日。片桐氏は前回選挙の2倍以上の1351票を獲得し9位で当選。選挙事務所に現れスタッフと抱き合って喜んだ田久保市長は涙をぬぐい、片桐氏に「ぜひこれから議会で新しい風を吹かせていただければと思います」と声をかけた。

選挙戦最終日の10月18日、片桐基至候補のマイク納めに応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
選挙戦最終日の10月18日、片桐基至候補のマイク納めに応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)

だが、この瞬間は田久保市長にとって最後の幸せな時間になるかもしれない。地元記者が解説する。

「市政刷新の期待を背に5月の市長選で田久保さんは14000票余りを得ていますから、これが大きく目減りしたとしても一定の支持者はいます。片桐さんは一人だけ不信任反対を明言していたため市長支持者の票が一番集まりやすく、当選圏だと予想されていました。

問題は片桐氏以外に何人が勝ち上がるか、でした。不信任への態度を明らかにしなかった3人だけでなく、不信任には賛成と言いながら実際は田久保さんの支持者の可能性があるとみられた候補者を加えれば市長派候補は新人ばかり最大で7人に上るとの見方もありました。しかし結局1人しか当選させられなかった。市長派には最悪の結果でしょう」(地元記者)

その7人すべての得票を積み上げても4200票余りで、全体の投票数の8分の1にとどまった。反市長派の建設会社社長は選挙前に、「声を上げない市長支持者が多くいる、とささやかれていますが、市長の支持層はすでに崩壊しています」と市内の雰囲気を分析していた。まさにその言葉が現実となって現れた形だ。

選挙戦最終日の10月18日、片桐基至候補のマイク納めに応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
選挙戦最終日の10月18日、片桐基至候補のマイク納めに応援に駆け付けた田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)