田久保氏や小野氏とともに注目される第三の候補

「立候補予定者向けの説明会には12陣営が参加しました。立候補表明は今9名ですが、この中には説明会に来ていない人もおり、まだ増える可能性だってあります」

そう伊東市議の一人が説明する。9人でも歴代最多の候補者数だ。「投票数の4分の1を得ないと当選にならないので、これに届く候補者がおらず再選挙になる可能性もあります」と市職員は指摘する。

年をまたいで続くかもしれない“田久保劇場”の余波。始まりは5月、市長選で3選を目指した小野元市長を一騎打ちで下したことで始まった。

10月31日、不信任決議案可決を受け失職通知を市議会議長から受け取る田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
10月31日、不信任決議案可決を受け失職通知を市議会議長から受け取る田久保眞紀市長(撮影/集英社オンライン)
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「市南部の伊豆高原が地元の田久保氏は、地元のメガソーラー建設反対運動の中心人物として知られ、小野市政が進めた40億円超の新図書館建設を止めるという公約を掲げ逆転勝ちしました」(地元記者)

ところが翌月には学歴詐称が発覚。関係者に「チラ見せ」した東洋大の卒業証書と称するものを公開しない姿勢が非難を浴び、市議会は全会一致で田久保氏市長の不信任を議決。田久保氏は市議会を解散し抵抗したが、出直し市議選の当選者で構成された新たな市議会にも不信任を議決され、ついに10月31日に市長室を追われた。

こうして迎えた今回の市長選。市の政界事情に詳しい建設業者が構図を解説する。

「田久保さんは『私にしかできないことがある』と支持者に向けてずっと言ってきたし、公職選挙法違反容疑などで複数の告発も受けていて“普通の人”になれば捜査の手が迫ってくるかもしれないので、“あきらめる”ことはないでしょう。

小野さんは5月の市長選で自民、公明と連合静岡の推薦も背に組織選挙を展開しましたが無所属の田久保さんに負けました。不人気のため自民党も次は候補者を変えるのではないかとみられた時期がありましたが、結局また自民党は小野さんでまとまりました。

いっぽう、この間のごたごたで『小野もダメ、田久保もダメ』という声が出る中、市議だった杉本氏が出直し市議選に出馬せず早々に市長選出馬を表明し、国民民主党と連合静岡の推薦を取りつけています」(建設業者)

小野元市長(本人SNSより)
小野元市長(本人SNSより)