端的にラストシーンを表現した秀逸な歌詞
少年から大人の男になること。これを、「別れも愛のひとつ」という言葉で端的に表現した
最後に描かれる鉄郎とメーテルの別れ。メーテルが999に乗って旅立っていく。鉄郎は「メーテル!」と叫んで涙を流す。999が空の彼方に消えた瞬間、この曲のイントロが流れ出す。
メーテルは999に乗る直前、鉄郎に別れのキスをする。鉄郎にとっては、メーテルとの別れであるのと同時に、少年期との別れでもあることを、このラストシーンは物語っているのだ。
少年から大人の男になること。これを、「別れも愛のひとつ」という言葉で端的に表現した。メーテルは999に乗って彼方に消え、そして鉄郎も地平線に向かって歩き出す。その鉄郎の瞳は、少年から男になっている。
この歌に登場する「君」とは、鉄郎のことであるのと同時に、当時この作品を観ていた少年少女たちのことでもあったのだ。
深い感動と共に多くの共感を得た、“人生の旅立ち”を見事に描いたクライマックス。心のスクリーンに、今も眩しく焼きついている。
文/佐々木モトアキ 編集/TAP the POP
参考・引用文献
『フォーク名曲事典300曲』(富澤一誠/ヤマハミュージックメディア)