「2、3時間くらいプイといなくなるんですね」
小川氏側で選挙を見ていたCさんは当時のことをこう話す。
「小川さんはたしかに県議時代から自民党の特定の議員とも仲がよく、市長選ではその人脈が活きたとは言えます。でもいくら身内の争いが過熱したといっても、この保守王国で現職の自民党議員が後援会もろとも公然と立民候補を応援したのは信じられない思いでした」
そして選挙戦ではほかにも異例の光景があったとCさんは続ける。
「小川さんはチャレンジャーなのに時々姿を消したんです。2、3時間くらいプイといなくなるんですね。誰も行き先を知らないし、連合やら党のエライ人が黙認しているのか聞こうともしない。事務所では誰もそのことには触れない雰囲気でした。
対抗馬である4選を狙う現職がドブ板を展開しているのにこんなことでいいのかという空気もあったんですが、事務所幹部が『いいんだよ。こっちには自民党もついているから勝てるよ』と言い放ったなんて話も聞こえてきました。結果はその通りになりましたけどね」(Cさん)
自民党の造反票を上積みする形で小川氏は勝利したが、当選から1年7か月で“自爆”し、今や市長の地位は危うくなっている。
だが、進退を決めるため“時間が欲しい”の一手で逃げ回っている小川市長は、実は辞職する気はなく時間を稼いでいるだけという批判が身内からも強まっている。
「今回のスキャンダルについて、市長選で煮え湯を飲まされたり、県議時代に小川さんとの関係がこじれたりした人が情報を出している、との話が飛んでいます。いっぽうで小川さんのコアな支持者はそうしたことを言い立てて『これは市長を追い落とす陰謀だ』とも言い始めており、本人からも支持者からも、辞めるという話は全然出ていません。
しかし陰謀も何も、ラブホテルに10回以上行っていたことは本人が認めている事実で、道義的にもたないと思います。期待してくれた有権者も多く離れたでしょうし、選挙で信を問えば今は勝てないでしょう。小川さんは自分がやったことを見つめ直し、傷が深くなる前に決断すべきだと思います」(Aさん)
小川市長は9日、個人事務所に「コールセンター」を構えると発表。前橋市に殺到する抗議電話を引き受けるとアピールした形だが、9月24日の問題発覚から同日夕までに、市には一日平均500本を超える電話がかかってきている。これを個人の事務所でどうやって捌くことができるのか。
さらに10日には、一緒にホテルへ行った市職員X氏が代理人弁護士を通じ、市議会議長に「事情説明書」と題した弁明を提出した。
ラブホテル利用は自分が思いついたとし「インターネットで調べると女子会利用などもあると出てきたので、使ってもかまわないだろうと安易に考えてしまい提案した」と主張、小川市長の言い分と同じく男女関係は一切ないと強調している。
続けざまに繰り出される動きは市長続投への“布石”なのか。辞職をするともしないとも言わず、時間を稼ぐだけでは醜態をさらすばかりだろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班