「息子も父親と同じ料理人を目指していた」

首藤さんの地元である大分でも事件は大きく報じられ、地元メディアは「複数の店舗を経営し、定期的にイタリアに渡って本場の味を研究していた」と、経営者としての横顔も報じている。 

地元で有名なシェフでありつつも、気さくな人柄であったことをうかがわせる声も聞こえてくる。 

首藤さん(本人SNSより)
首藤さん(本人SNSより)

首藤さんが店舗を構える別府市内の別の飲食店関係者(50代)は、「気のいい兄ちゃんという感じで、時たま一人でうちのラーメンを食べに来てくれていたよ。うちの系列店のオーナーが、首藤さんが北浜に店を出したときに花を贈ったんだ。2016年3月だったかな。首藤さんは近所付き合いを大切にしていたそうで、別府市内のいろんな飲食店へ顔を出してたから、事件をニュースで聞いて『まさかな』と思って心配していたんだけど、おたくから連絡があって、ああやっぱりそうなんだと確信した。残念としか言いようがないよ」と肩を落とす。

ではなぜ、地域の「顔」でもあった首藤さんが、息子の手にかけられてしまうことになったのか。

別の飲食店関係者は、「ここら辺では知名度はあるほうかな。北浜の店をオープンする前は、大分市の調理師専門学校で講師を数年間していたと聞くし、街の広報誌にもよく載っていたからなあ。息子についてはそんなに聞いてないけど、レスリングとかそういう格闘技系を小学校のときにやらせていたらしいよ。教育方針があるのかわからないけれど、自分の息子について『弱気なんだよね』とか他のオーナーに話していたそうだよ」と振り返る。

首藤さんのお店の中の様子(お店HPより)
首藤さんのお店の中の様子(お店HPより)

前出の首藤さんが運営するとみられるブログにも息子に関する記述がみられる。

2015年6月の投稿では、「プライベートな写真ですが」とのタイトルで、地元新聞にも取り上げられた、小学生の「わんぱく相撲」での我が子の活躍を記事にしている。

記事には《息子は相撲が大好きで場所が行われるときは学校から帰宅した途端宿題もせずにテレビに食いついております。そんな彼が、是非出たいという事で参加させたらアレヨアレヨと勝ち進み、見事に決勝戦まで行きました》とつづられている。

《見事に初出場で準優勝。あっぱれ!》と息子の活躍に賛辞を送り、《準優勝した彼に親孝行さ》を感じるとも。一連の投稿は、首藤さんのわが子への深い愛情と親子の絆を感じさせる。

首藤さんは息子が相撲大会で準優勝したことをブログで報告していた(本人ブログより)
首藤さんは息子が相撲大会で準優勝したことをブログで報告していた(本人ブログより)
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地元・大分のメディアの報道によれば「息子も父親と同じ料理人を目指していた」という。

「首藤さんと息子は2人で海外へ行って、沖縄でほかの家族と合流するはずだったとの情報もあります。海外修業で腕を磨いた父親の背中を見せるためだったのか。凶器となった包丁は、首藤さんか息子の私物とみられています。親子の間で何があったのかはわかりませんが、なんともやりきれない事件ですね」(前出のメディア関係者)

事件から2日が経った10日、記者の取材に応じた親族とみられる男性は、「いまはまだ心の整理がつきません。正直、まだ受け止められていません」と言葉少なに語った。

料理人として同じ頂きを目指したはずの父と子。悲劇の背景に、どんな諍い、すれ違いがあったのか。真相解明が待たれる。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班