未熟な世襲おぼっちゃんを大人たちが守った
当時の出馬会見では記者の人数、カメラの人数の制限だけではなく、座席も指定されるという異例の展開になり、「名前を知っている記者ばかり当てるな!」といったヤジも飛んだ。未熟なおぼっちゃんのため、大人たちが世襲議員を守ったのだ。
そして話は戻る。今回の総裁選でのステマ指示だ。正直またか、という感じだ。
進次郎氏はステマ依頼報道を受け、記者会見で謝罪した。そして陣営は「ビジネスエセ保守に負けるな」「やっぱり仲間がいないと政策は進まないよ」といった書き込みは特定の候補者に向けた文言ではないと言い訳をしたが、なんとも白々しい。
世襲という圧倒的に有利な立場から放たれた「やっぱり仲間がいないと……」発言は、イジメのようにすら感じる。これ、友達が少なかった人間にはわかるはず、心にぐさりと刺さる言葉だ。好き好んで組織内で孤立する人ばかりじゃないということがわからないあたりは、世襲議員の限界なのかもしれない。
たしかに組織を動かすには仲間が必要なのだろう。だが、一方で仲間に嫌われてでも己の信じる政策を語れる政治家が今の自民党にどれだけいるのだろうか。そうやって全方位的にいい顔をし続けた結果が、今の利権集団に囲まれ何もできなくなった自民党であり日本国なのではないか。いつまでもお仲間同士の政治を続けていくつもりなのか。
なぜ総裁選に法令的規制がないのか
そもそも論として、日本国のトップを実質決めることになる総裁選に、何も法令的規制がないのはおかしいのではないか。
たびたび話題となる政治と金の問題もそうだが、そもそもの元凶は日本に政党法がないことだ。民間であれば何でもやっていいわけではない。会社にだって会社法がある。しかし政党法はない。
裏金問題も政党ガバナンスの欠如からくるものだ。ガバナンスを利かせる一つの手段として「現金を配ってはいけない」「総裁選(代表選び)の宣伝方法・やり方を規制する」「党員が監視できる体制をつくる」「候補者選びを透明化する」など、政党交付金を受け取るものとして本来、国が監視するべき話のはずだ。
ましてや、総裁選を利用して自民党に対する国民的注目度を高め、有利な状況で新首相が解散総選挙に打って出るような行為は、民主主義に対する冒涜ではないか。
今回の総裁選を巡り、9月21日自民党は広報公式Xアカウントで「自民党はSNS等における偽・誤情報の投稿や悪質な誹謗中傷を繰り返すアカウントに対しては、事実に基づき、必要に応じて開示請求といった法的措置を含む対応を適切に行ってまいります」という投稿をしていた。