議員宿舎にこもりきり 「ステルス」高市氏
「気力、体力は充実している」
17日、推薦人に必要な20人を上回る議員との会合に出席した高市氏はそう語り、総裁選への意気込みを強調したという。
石破首相の退陣表明後、早々に推薦人20人の目途をつけ、いち早く有力候補に躍り出た高市氏だが、その後の動向はさほど報じられていなかった。
「他候補が議員たちと都内各所で会合を重ねるなか、高市氏はほとんどの時間を議員宿舎で過ごし、側近議員たちとも宿舎内で作戦会議をしてきました。政策発表もギリギリまで遅らせ、世論や他候補の動向を見極める『後出しじゃんけん作戦』です」(全国紙政治部記者)
こうして時間をかけて情勢を見極めるなかで高市氏やその周辺が頭を悩ませてきたのが、「どこまで高市カラーを打ち出すか」ということだ。
高市氏はスパイ防止法導入を提言するなど、タカ派色の強い政策を打ち出してきたが、そうした姿勢には旧安倍派からも「タカ派すぎて、ついていけない」(旧安倍派ベテラン)と距離を置く声が目立つ。その結果、昨年の総裁選では石破茂氏に決選投票で敗れることとなった。
さらに今回は、旧安倍派の裏金問題を受け、杉田水脈氏ら高市氏を熱烈に支持していた議員が落選した後の総裁選のため、高市氏にとっては前回ほどの議員票が見込みにくい状態での戦いとなりそうだ。
それゆえに高市氏の周辺は「あまりにタカ派的な政策だと幅広い支持を集められない。ウィングを広げて支持を集めるためにも、政策や発言をマイルドにしては」と進言した。
ただ、夜や土日も議員宿舎にこもって資料を読み込むほど勉強熱心で知られ、政策にはこだわりがある高市氏。議員宿舎で連日、仲間とともに政策や発言の詰めを進めるものの、どこまで柔軟に対応できるかが焦点だ。
また、高市氏の「ステルス」の背景の1つとして指摘されているのが、本人のコンディションだ。
最近は永田町で「数十メートル歩くだけでもかなり疲れるようで、ほんの短い距離でもすぐに車に乗りたがる様子を見た」などともささやかれており、総裁選を通じて体調不安説を払拭できるかどうかも課題だ。