騒動について「ものまね芸は、ご本人あっての表現」 

今月、EXILE ATSUSHIのものまね芸人・RYOが、親交のない歌手・橋幸夫さんの通夜に参列した件について物議を醸しているが、この騒動について同じものまね芸人としてどう思うのか。率直な意見を聞いてみた。 

「ものまね芸はご本人あっての表現だと思うので、自身の言動がご本人に迷惑をかけてしまうことは避けるべきだと思います。そもそも故人の冥福を祈り、別れを告げる葬儀という場で、自分のやりたいことを持ち出すのは違うんじゃないかと思います」 

今回のものまね芸人の騒動について語るビスケッティ佐竹さん
今回のものまね芸人の騒動について語るビスケッティ佐竹さん
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今回の騒動に関しては、同じものまね芸人の仲間内でも話題にあがったという。

「『あれはさすがにないよね…』っていうのがみんなの共通認識です。そもそも皆さん、RYOという芸人にショーパブなどの会場や現場で『会ったことがない』と言うんです。

どこに所属していて、どこで出演している芸人なのか、誰も情報を持っていない。逆にいうと表現の場がないから、ああいう変な方向に向かってしまったのかもしれません」

今回の騒動は、業界に深刻な影響を与えている。八代亜紀さんなどのレパートリーを持つものまね芸人・りょうは、物議を醸しているRYOと同名であることから混同されていると明かし、自身の公式サイトで〈報道に出ている方とは全くの別人です〉と声明を発表した。

「今回の件で、『ものまね芸人=不謹慎な人たち』という偏見が広がってしまうことは、業界としてもすごく残念ですし、祝辞イベントに呼ばれる件数も減っていくと思います。

もちろん、ものまね芸って本人の特徴を誇張したり、腐してしまう部分はあって、もともとのベースとして失礼になってしまいがちな芸ではあります。だからこそ、まずは一度立ち止まって、自分の芸がご本人にどう思われるのかを念頭に置きつつ、場に適した行動を取っていくべきだと思います。配慮がないと、ものまね芸を続けることは難しいと思いますので」

笑わせるためのものまね芸が、いつの間にか誰かを傷つけていないかーー。その境界線は非常に繊細で、そして意外と紙一重……。だからこそ、ものまね芸人はあらゆる場面で、マナーとモラルが求められているのだろう。

#1「―安倍元首相亡き後も、ものまねを続けるきっかけとなった妻・昭恵さんからの言葉と涙」はこちらから

取材・文/木下未希 撮影/石垣星児

安倍晋三元首相に扮したビスケッティ佐竹さん
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