「市長選には少なくとも8人が出る」 

「私でなければできないことがある」。

 9月1日の不信任決議案採決の直前の8月下旬、田久保市長は支持者らにそう決意を述べ、「9月10日に市議会を解散し10月19日に出直し市議選を行なう」とのスケジュールまで伝えたと関係者は証言している。#19

8月13日、集英社オンラインのインタビューに答える田久保眞紀市長 撮影/集英社オンライン
8月13日、集英社オンラインのインタビューに答える田久保眞紀市長 撮影/集英社オンライン
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その戦略を地元記者はこう話す。

「田久保市長は不信任の議決から10日以内に失職か辞職、または市議会解散を行なう必要があります。失職して出直し市長選に出馬する道もありますが、今の空気では再選は難しいと田久保さんは思っているようです。
そこでまず議会解散で時間を稼ぎたいのでしょう。出直し市議選で構成される次の市議会が再び不信任を議決すれば、市長は無条件で失職し出直し市長選になりますが、時間が経てば逆風が今よりは収まっていると田久保市長は考えている節があります。
さらに、次の市議会による不信任決議は19人の市議の三分の二以上の出席と過半数の賛成が必要です。つまり市議会の三分の一を超える7人が欠席すれば採決自体ができないんです。
そのため解散後の市議選で7議席をとることを目標に、田久保さんの支持者の中で候補者選びを進めているようです」(地元記者)

その言葉通り、田久保氏の支持者の一人は市議選で「7人。できるなら9~10人を立てたい」と口にした。ただ伊東市政はもはや「田久保市長派vs反田久保派」の二元論では語れないと市内の業界関係者は解説する。

「田久保さんを支持してきたのは、前市長の体制で公共事業の利権構造が固められてきたと考える人たちです。その見方と“変革できる市長”が必要だとの立場は不変ながら、『さすがに田久保さんにはついていけない』と考え、別の市民運動出身者を市長にしたいという人たちも出始めました。選挙で7人とか10人とかを本当に擁立できるのかも不確かですが、立ったとしても全員が田久保市政の延長を望むかどうかは分からないと思います。

一方で反田久保派も割れており、前市長だけでなく田久保氏を批判してきた市議らが、市長選に出馬する動きを見せています。市長選には少なくとも8人が出るとの観測もあり、市議選も市長選も行方は混とんとしています」(業界関係者)

9月1日、田久保眞紀市長の不信任決議案を全会一致で可決した伊東市議会 撮影/集英社オンライン
9月1日、田久保眞紀市長の不信任決議案を全会一致で可決した伊東市議会 撮影/集英社オンライン