2度目の要求で証人尋問に出頭も「除籍と知らなかった」論法
「あなたの見せてきた卒業証書なるものは一体なんなのか、教えてください!」(市議)
「卒業証書とされているものであったという風に思っています」(田久保市長)
13日に行われた百条委での証人尋問はこのような不毛なやりとりから始まった。
5月の市長選でメディアに学歴を「東洋大卒」と説明し、6月に作成された市の広報誌にも同様の学歴が掲載された田久保氏は、6月4日ごろまでは、卒業証書とするものを広報誌編集に携わる市幹部や市議会、支援者らに見せてきた。
しかし、この時期に差出人不明で「除籍だった」と指摘する文書が全市議に郵送された後、田久保氏は学歴について口を閉ざす。
6月25日に市議会で「東洋大を卒業したのか」と聞かれると答えず、7月2日になって「東洋大へ6月28日に出向いたところ除籍だったことがわかった」と記者会見で説明。
7月7日には市長を辞職し、出直し市長選に出ると発表し、卒業証書とされるものは真贋を調べてもらうために静岡地検に提出すると約束した。
ところが田久保市長はその後、「公約を果たすのが私の使命」と言って辞職の約束を破棄。
地検へ提出する約束も、自分が公職選挙法違反の経歴詐称容疑で市内の建設会社社長に刑事告発されており、卒業証書とされるものが「重要な証拠となるのではないか」と考えたことを理由に反故にした。
同じ理由で百条委への提出要求も拒み、一度は出頭要求も拒否した。
2度目の要求で証人尋問に出頭したのは「出頭拒否を理由にした百条委による刑事告発を避ける狙いがある可能性もあります」と地元記者は話す。
市議らの尋問は、卒業証書とされるものの提出要求に大半の時間が割かれた。
「相手を騙す意図で(ニセの卒業証書を見せる)行為を行なっていなければ市長には犯意がないことになる。そうだとしたら刑事訴追の可能性なんか全くない。そうなら行政調査の目的で百条委員会に提出することは可能じゃないですか」
「理屈をつけて提出しないというのは、あなたが犯意(があったこと)を認めてるというようにしか見えない」
これに田久保市長は、これまでと同じ理由で提出はしないと拒否。「私が卒業していない、除籍である事実を知りましたのは、6月28日、大学に出向いた時になります」とも繰り返した。それまで除籍と知らなかったのでだましたわけではない、との論法だ。
こうして卒業証書の提出問題は打開できなかった。いっぽうで田久保市長は除籍の事実を知らなかった“理由”を明確に話した。これにより、東洋大が田久保市長の在学中に取った措置が判明すれば、田久保氏の主張の真偽がわかる可能性がでてきたのである。