辞意を撤回した“市長しか見ることができない書類”?
市長選立候補が取りざたされる顔ぶれは、いずれも一定の知名度を持つ人物ばかり。今年5月の市長選では約1万4000票余りを獲得した田久保市長が、前市長を約2000票の差をつけて破ったが、有力候補の乱立で当選ラインが下がれば「支持者の一部が離れても田久保氏が再選する可能性はある」と地元記者はみる。
「メディアで猛批判を浴びても田久保氏には圧倒的な知名度があります。昨年兵庫県議会から全会一致の不信任を突き付けられたあと出直し知事選で逆転勝ちした斎藤元彦知事の例もあり、民意がどちらを向くのかわからない、という声も街の中では出ています」と市政関係者は話す。
逆風を受ける田久保市長が風向きを変えることができるのか。除籍処分を受けていた東洋大学を「卒業した」として偽物の疑いがある卒業証書を見せていたとされる問題の根本は何も解明されていないが、この問題に関しては田久保陣営は正面突破を図る構えだ。
「支持者の集まりでは“家が火事になっているときにカーテンにシワが寄っていることを気にするんですか”という反論も出ていました。叩いたら誰でも問題は出てくるでしょう、市当局が一部業者と癒着してきた構造を今なんとかしなければいけないのに学歴のことなど言っていていいのか、ということです」(支持者)
利権にまみれた市政を火が出ている家にたとえ、学歴詐称という「カーテンのシワ」程度の些事にとらわれず火消しという改革が迫られている、との主張だ。
ここで「実際に市政が火事という大ごとになっていることを示す証拠が存在する」との話も最近語られている。
「田久保さんは7月7日に一度辞意を表明し、同月31日に撤回しました。その理由について彼女に近い市関係者は『田久保さんは本当に責任を取るため辞職を一度は決心したみたいだけど、その後“市長しか見ることができない書類”に目を通すうちに自分が市長で居続けなければ大変なことになると思い翻意した』という趣旨のことを周囲に語っています」(市政関係者)
この“市長しか見られない書類”とは何か。市役所関係者は「公文書の中にそんなものが存在するわけがない。いつの時代の話をしているんですか」と一蹴するが、こうした書類が存在するとの話は支持者の中に浸透しており、「田久保市長がこれを公開すれば、市政がゆがめられてきた決定的な証拠になる」との声まででている。